アントニン・ドロホフ

アントニン・ドロホフ

アントニン・ドロホフ (Antonin Dolohov) は、ヴォルデモート卿に仕える最も古く、最も忠実でサディスティックな死喰い人 (デスイーター) の一人である。彼は第一次および第二次ウィザーディング戦争の両方で重要な役割を果たし、その卓越した決闘の腕前と冷酷さで知られている。彼は不死鳥の騎士団のメンバーを含む数多くの魔女や魔法使いを殺害した責任を負っている。

第一次ウィザーディング戦争

ドロホフは、ヴォルデモート卿が最初に権力を握った時代からの初期の支持者の一人であった。彼は、モリー・ウィーズリーの兄弟であるギデオンとフェービアンのプルウェット兄弟の残忍な殺害に関与したことで特に悪名高い。この凶悪な犯罪により、彼は魔法省に捕らえられ、アズカバンで終身刑を宣告された。

第二次ウィザーディング戦争

1996年、ドロホフはベラトリックス・レストレンジを含む9人の死喰い人と共にアズカバンからの大量脱獄に成功し、再びヴォルデモート卿に合流した。 脱獄後、彼は神秘部の戦いに参加した。この戦いで、彼はハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーと対峙した。彼は独自の呪文を無言で使用し、紫色の炎でハーマイオニー・グレンジャーに深刻な内傷を負わせた。しかし、後にハリー・ポッターによって全身金縛りの術 (Petrificus Totalus) をかけられ、再び捕らえられアズカバンに送還された。 1997年にヴォルデモート卿魔法省を掌握すると、ドロホフは再び脱獄した。彼はソーフィン・ロウルと共に、トッテナム・コート・ロードのカフェでハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーを追跡した。戦闘中にドロホフはハリー・ポッターに再び気絶させられ、ハーマイオニー・グレンジャーによって忘却呪文 (Obliviate) をかけられた。この失態により、彼はヴォルデモート卿から厳しい罰を受けた。 彼はホグワーツの戦いにも参加し、そこで不死鳥の騎士団の主要メンバーであるリーマス・ルーピンを殺害した。最終的に、彼はホグワーツ魔法魔術学校の決闘チャンピオンでもあるフィリウス・フリットウィック教授との決闘に敗れた。

ドロホフは、長くて青白く、歪んだ顔を持つ男として描写されている。彼の性格は極めてサディスティックで、他者に苦痛を与えることを楽しむ冷酷な殺人者である。彼はヴォルデモート卿への揺るぎない忠誠心を持ち、闇の魔術への深い知識と情熱を抱いている。彼の行動は、目的のためなら手段を選ばない残忍さを示している。

  • 決闘 (Dueling): ドロホフは非常に熟練した強力な決闘者である。彼はアラスター・ムーディのような一流の闇祓いを打ち負かし、ギデオン・プルウェットフェービアン・プルウェットの殺害(4人の仲間と共に)や、リーマス・ルーピンの殺害など、数々の勝利を収めている。
  • 闇の魔術 (Dark Arts): 彼は闇の魔術の専門家であり、特に彼自身が編み出したと思われる独自の呪文を得意とする。この呪文は紫色の炎を伴い、外部に傷跡を残さずに深刻な内傷を引き起こす効果がある。
  • 無言呪文 (Non-verbal Magic): 彼は高度な魔法技術である無言呪文を巧みに使いこなすことができる。神秘部の戦いでは、彼はほとんどの呪文を言葉を発することなく使用しており、これは彼の魔法能力の高さを示している。
  • : ドロホフは自身のを使って数々の闇の魔術を行使した。杖の芯や材質に関する具体的な記述はない。
  • アントニン (Antonin): スラヴ語圏で一般的な名前であり、チェコの作曲家アントニン・ドヴォルザークなどが有名。
  • ドロホフ (Dolohov): この姓は、レフ・トルストイの小説『戦争と平和』に登場するフョードル・ドロホフ (Fyodor Dolokhov) に由来する可能性が高い。このキャラクターは冷酷で無慈悲な決闘者として知られており、アントニン・ドロホフの性格と多くの共通点がある。
  • 映画版では、アントニン・ドロホフは複数の作品に登場するが、原作ほど重要な役割は与えられていない。(映画設定)
  • 彼がハーマイオニー・グレンジャーに使用した特徴的な紫色の呪文は、映画では描かれていない。(映画設定)
  • ホグワーツの戦いリーマス・ルーピンを殺害したのはドロホフであると原作では明記されているが、映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』では彼の死の直接的な原因は描かれていない。(映画設定)