オブスキュラス

オブスキュラス (Obscurus) とは、若い魔法使い魔女が虐待などの精神的・肉体的苦痛によって自らの魔法の力を抑圧した結果、体内で形成される闇の魔力を持った寄生的な力のことです。この現象は、主に『ファンタスティック・ビースト』シリーズで詳細に描かれた概念です。(『ファンタスティック・ビースト』シリーズ設定) オブスキュラスを宿した人間は オブスキュリアル (Obscurial) と呼ばれます。オブスキュリアルは通常、その強大な力に耐えられず 10 歳の誕生日を迎える前に命を落とすことがほとんどです。

  • 形成: 魔法族の子供が、マグルによる迫害や家族からの虐待といった極度のトラウマに晒され、生き延びるために無意識的あるいは意識的に魔法を否定し、抑えつけることで発生します。抑圧された魔力は内側に向かい、破壊的なエネルギーの塊であるオブスキュラスとして実体化します。
  • 外見: オブスキュラスは、黒い煙のような、あるいは液体のような流動的な姿を持ち、実体のない巨大なエネルギーの塊として現れます。激しく渦巻き、時には赤い光を内部に宿していることもあります。(『ファンタスティック・ビースト』シリーズ設定)
  • 宿主との関係: オブスキュラスは宿主であるオブスキュリアルに寄生しており、宿主の感情、特に怒りや恐怖が限界に達した際に制御を離れて暴走します。この状態のオブスキュラスは周囲の建物や生物に対して甚大な被害をもたらします。
  • 分離可能性: 宿主が死亡した後も、オブスキュラスは短時間ながら存在し続けることができます。ニュート・スキャマンダーは、死亡したスーダンの少女から分離したオブスキュラスを魔法のトランクケース内で保護していました。(『ファンタスティック・ビースト』シリーズ設定)
  1. クリーデンス・ベアボーン: (『ファンタスティック・ビースト』シリーズ設定) 20 世紀初頭のアメリカに住んでいた青年。強力なオブスキュリアルであり、10 歳を過ぎても生存していた極めて稀な例です。彼のオブスキュラスはニューヨーク市に壊滅的な被害を与えました。
  2. アリアナ・ダンブルドア: 『ハリー・ポッターと死の秘宝』において、アバーフォース・ダンブルドアが語った彼女の状態は、オブスキュリアルの特徴と酷似しています。彼女は幼少期にマグルの少年たちから暴行を受けたことで心を閉ざし、魔法を制御できなくなりました。その力は内側で暴発し、母親のケンドラを死に至らしめました。原作小説には「オブスキュラス」という言葉は登場しませんが、後に『ファンタスティック・ビースト』で提示された設定によって、彼女がオブスキュリアルであったことが強く示唆されています。
  3. スーダンの少女: (『ファンタスティック・ビースト』シリーズ設定) ニュート・スキャマンダーが研究のために保護していたオブスキュラスの元の宿主。8 歳で亡くなったとされています。

“Obscurus” はラテン語で「暗い」「不明瞭な」「隠された」といった意味を持つ形容詞 obscūrus に由来します。これは、抑圧され、隠された魔法の本質を的確に表しています。

  • オブスキュラスとオブスキュリアルという概念は、J.K. ローリングが脚本を手掛けた 2016 年の映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』で初めて導入されました。
  • この設定は、原作で謎の多かったアリアナ・ダンブルドアの悲劇的な人生に、より具体的で魔法的な説明を与えるための後付け設定(レトロアクティブ・コンティニュイティ)として機能しています。
  • 魔法史において、かつて魔法使いマグルからの迫害を恐れて暮らしていた時代には、オブスキュリアルはより一般的に存在したとニュート・スキャマンダーは推測しています。(『ファンタスティック・ビースト』シリーズ設定)