幻の動物とその生息地

『幻の動物とその生息地』は、魔法界で最も信頼されている魔法動物に関する手引書です。本書はアルファベット順に様々な魔法生物をリストアップし、それぞれの生物に関する詳細な説明、魔法省による危険度分類(XXXXXからXまで)、生息地、習性、飼育や対処に関する注意点などを網羅しています。 ハリー・ポッターホグワーツで使用した版は、彼自身やロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーによる落書きやメモで満たされています。例えば、どのドラゴンがハンガリー・ホーンテール種かという印や、アクロマンチュラの項目に「アラゴグのために」と書かれた走り書きなどが見られます。(2001年出版の関連書籍より)

この本自体に特定の能動的な魔法が付与されているわけではありませんが、その内容は魔法界の安全と知識の根幹を支える上で極めて重要です。

  • 教育的用途: ホグワーツ魔法魔術学校では、魔法生物飼育学の授業で必須の教科書として長年使用されています。生徒たちはこの本を通じて、ヒッポグリフへの正しい接し方からクインテラペッドのような危険生物の回避方法まで、実践的な知識を学びます。
  • 専門家の参考書: 魔法生物学者はもちろん、危険な生物に遭遇する可能性のある闇祓いや一般の魔法使いにとっても、不可欠なサバイバルガイドとしての役割を果たします。
  • 法律と規制の基盤: 本書で詳述されている魔法省による危険度分類は、魔法生物の売買、飼育、保護に関する法律の基礎となっています。

本書は、世界的に有名な魔法生物学者であるニュート・スキャマンダーが、長年にわたる世界中でのフィールドワークと研究を経て執筆したものです。初版は1927年にオブスキュラス・ブックスから出版され、瞬く間にベストセラーとなりました。 ハリー・ポッターの時代には既に第52版が発行されており、魔法界の家庭には必ず一冊あると言われるほど普及していました。本書の序文は、他ならぬアルバス・ダンブルドアが執筆しており、スキャマンダー氏の功績を称えています。

『ハリー・ポッター』シリーズの原作本編において、本書は主に世界観を深めるための重要な小道具として登場します。『ハリー・ポッターと賢者の石』でハリーの入学準備品リストに記載されており、魔法界の存在を読者に示す初期の要素の一つです。 物語が進むにつれて、登場人物たちがバジリスク屋敷しもべ妖精水中人など、様々な魔法生物と対峙する場面で、本書に記載されているであろう知識が間接的に彼らの行動の助けとなっています。 この教科書とその著者であるニュート・スキャマンダーは、後に『ファンタスティック・ビースト』(邦題:『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』)として知られる映画シリーズの物語の根幹を成すことになりました。(映画シリーズ設定)

  • 現実世界での出版: 2001年、作者J.K.ローリングは慈善団体「コミック・リリーフ」への寄付を目的として、実際に『幻の動物とその生息地』を出版しました。この本は、作中でハリーが所有していたものの複製という体裁をとっており、彼の落書きが忠実に再現されています。
  • 映画シリーズ: 2016年より、この教科書のタイトルと著者を主役とした映画シリーズ『ファンタスティック・ビースト』が公開されました。物語は1920年代を舞台に、若き日のニュート・スキャマンダーの冒険を描いており、『ハリー・ポッター』シリーズの前日譚となっています。(映画シリーズ)