カスバート・ビンズ
概要
カスバート・ビンズは、ホグワーツ魔法魔術学校の魔法史の教授です。彼は学校で唯一の幽霊の教師であり、その単調で眠気を誘う授業で知られています。彼の物語における最も重要な役割は、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』において、クラスの生徒たちに秘密の部屋の伝説について語り聞かせる場面です。
経歴
ビンズ教授の生前の詳細はほとんど知られていませんが、彼はホグワーツで非常に長い間教鞭をとっていました。ある日、彼は教員休憩室の暖炉の前にある肘掛け椅子で眠ったまま亡くなりました。しかし、彼は自身の死に気づかず、翌朝には幽霊となって立ち上がり、まるで何事もなかったかのように授業に向かいました。その際、彼は自分の肉体を置き去りにしたとされています。 それ以来、彼は幽霊として魔法史を教え続けています。彼の授業は、教科書を抑揚のない声でひたすら読み上げるというもので、ほとんどの生徒にとっては退屈極まりないものです。 物語の中で彼が積極的に役割を果たすのは、ハーマイオニー・グレンジャーが秘密の部屋について執拗に質問した時です。当初、彼はそれを「確かな、検証可能な事実」ではないとして単なる伝説だと一蹴しましたが、クラス全体の予期せぬ関心の高さに押され、サラザール・スリザリンと秘密の部屋にまつわる歴史的背景を語り始めました。
外見と性格
ビンズ教授は、他のホグワーツの幽霊たちと同様に、真珠のような白色で半透明の姿をしています。彼は年老いてしわくちゃな外見をしており、古いカメのようだと描写されています。 彼の性格は極めて単調で、感情の起伏を見せることはほとんどありません。彼の声は乾いたドローン(単調な低い音)のようで、生徒を頻繁に眠りに誘います。彼は現実世界から完全に切り離されており、生徒一人ひとりを個人として認識することは滅多にありません。例えば、ハリー・ポッターの名前を「パーキンス」と間違えるなど、生徒の名前を正しく呼ぶことすら稀です。彼の唯一の関心事は歴史的な事実だけであり、それ以外の事柄にはほとんど注意を払いません。
魔法能力と技術
ビンズ教授は幽霊として、以下のような能力を持っています。
- 浮遊: 彼は空中を浮遊して移動します。
- 物質透過: 彼は壁や黒板などの固体を自由に通り抜けることができます。
彼は杖を使って積極的に魔法を行使することはありません。彼の唯一にして最大の「技術」は、ゴブリンの反乱から巨人戦争に至るまで、魔法界の歴史に関する広範かつ詳細な知識です。
主要な所有物
彼にまつわる重要な魔法アイテムは特に知られていません。彼の所有物といえば、授業中に延々と読み上げるための膨大な講義ノートが挙げられます。
人間関係
ビンズ教授は、同僚や生徒たちと個人的な関係を築いている様子は一切見られません。彼は周囲の世界から孤立しており、他者との交流はほとんどありません。 唯一の注目すべきやりとりは、2年生の時のハーマイオニー・グレンジャーとのものです。彼女の知的好奇心と粘り強さだけが、彼の普段の授業の殻を破り、生徒たちが真に関心を持つ話題について直接語らせることに成功しました。
名前の語源
- Cuthbert (カスバート): 古英語の「Cūþbeorht」に由来し、「有名な(cūþ)」と「輝かしい(beorht)」を組み合わせた名前です。彼の退屈で地味な性格を考えると非常に皮肉な名前ですが、彼の専門分野における「輝かしい」知識を暗示している可能性もあります。
- Binns (ビンズ): 「bins」(ゴミ箱)という単語にかけた言葉遊びかもしれず、古くて埃っぽい、忘れ去られた情報の山を連想させます。
舞台裏情報
- ビンズ教授は、映画版には一切登場しません。