ザ・クィブラー
基本情報
- タイプ: 魔法雑誌
- 所有者: ゼノフィリウス・ラブグッド
- 製作者: ゼノフィリウス・ラブグッド (編集長)
概要と外観
『ザ・クィブラー』(The Quibbler、日本語版では「ザ・クィブラー」または「月刊クィブラー」と表記されることがある) は、ルーナ・ラブグッドの父親であるゼノフィリウス・ラブグッドが編集長を務める魔法使い向けの月刊雑誌。魔法界の主流メディア、特に日刊予言者新聞とは一線を画し、陰謀論や未確認生物、常識外れの主張を専門に扱うことで知られている。 その内容は、「コーネリウス・ファッジがゴブリンをパイに入れて焼いている」といった突飛な見出しや、「ラックスパート」や「しわくちゃ角スノーカック」といった存在が疑わしい生物に関する記事が中心である。そのため、魔法界の大多数の魔法使いからは信頼性の低い、ジョークのような出版物と見なされている。しかし、その独自の内容を信じる熱心な読者層も少数ながら存在する。 雑誌の表紙はしばしば派手で、けばけばしい色彩が用いられる。『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で登場した号には、付録としてスペクトレスペックスが付いていた。
魔法的特性と用途
『ザ・クィブラー』自体に特別な魔法的特性はないが、その主な用途は情報の伝達である。特に、他の出版物が報じない、あるいは報じられない「もう一つの真実」を提供することにその価値がある。
- 代替的な情報源: 魔法省や主流メディアが特定の情報を隠蔽したり、プロパガンダを流布したりする状況において、対抗する言論のプラットフォームとして機能する。
- 魔法アイテムの付録: 読者の興味を引くため、スペクトレスペックスのような魔法の小物が付録として付けられることがある。
- 信念の表現: この雑誌は、ラブグッド家の「あらゆる証拠が否定していても信じ続ける」という信念を体現したものである。
歴史
『ザ・クィブラー』の創刊時期は不明だが、物語開始時点ですでに発行されており、ゼノフィリウス・ラブグッドが自宅兼編集事務所であるオッタリー・セント・キャッチポール村近くの家に住み、一人で出版を続けていた。長年にわたり、その評判は「風変わりなゴシップ誌」というものであり、発行部数も決して多くはなかった。 しかし、第二次魔法戦争の勃発に伴い、その歴史は大きな転換点を迎えることになる。
物語における役割
『ザ・クィブラー』は物語、特に後半において極めて重要な役割を果たす。
- ハリーの告白の掲載: 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』において、魔法省がヴォルデモートの復活を頑なに否定し、ハリー・ポッターを嘘つき呼ばわりする中、ハーマイオニー・グレンジャーの発案でハリーは自身の体験を語る独占インタビューを受ける。この記事の掲載を引き受けた唯一のメディアが『ザ・クィブラー』であった。リータ・スキーターが執筆したこの記事は大きな反響を呼び、ドローレス・アンブリッジがホグワーツ校内でこの雑誌を禁止したことで、かえって生徒たちの間で秘密裏に回覧され、ハリーの主張の信頼性を高めた。この号は完売し、増刷された。
- 悲劇の引き金: 『ハリー・ポッターと死の秘宝』では、ヴォルデモートが魔法省を掌握した後も、ゼノフィリウス・ラブグッドはハリーを支持する記事を掲載し続けた。しかし、そのために娘のルーナ・ラブグッドが死喰い人に誘拐されてしまう。ゼノフィリウスは娘の命を救うため、やむなくハリー、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーを死喰い人に引き渡そうと試みた。
幕後情報
- 名前の由来: 英語の “Quibbler” は、「些細なことで屁理屈をこねる人」や「言い逃れをする人」を意味する。これは、主流の意見に対して常に異議を唱え、一般的には信じられていない事柄を真剣に論じる雑誌のスタイルを完璧に表している。