グリンデロー
基本情報
- 魔法省分類 (M.O.M. Classification): XX(無害/飼育可能)(『幻の動物とその生息地』)
- 原生環境 (Native Habitat): イギリスおよびアイルランド中の湖の底にある藻の生い茂った場所
- 外見 (Appearance): 病的な緑色をした小型の水の悪魔。頭には鋭い小さな角が二本あり、非常に長く、しかし脆い指を持つ。
- 食性 (Diet): 小魚
概要
グリンデローは、イギリスとアイルランドの湖に生息する、攻撃的な性質を持つ水の悪魔です。病的な緑色の体と鋭い角、そして獲物を捕らえるための長くしなやかな指が特徴です。その指は強力な握力を持ちますが、同時にもろいという弱点も抱えています。 公式な魔法省の分類では「XX(無害/飼育可能)」とされていますが、これは主に人魚が彼らを飼い慣らすことができるという事実に基づいていると思われます。実際には、人間にとっては非常に危険な存在であり、作中でも何度も魔法使いを襲っています。
作中での役割
- ハリー・ポッターとアズカバンの囚人: グリンデローは、リーマス・ルーピンが教鞭をとった3年生の「闇の魔術に対する防衛術」の授業で初めて登場しました。ルーピンは水槽に入ったグリンデローを生徒たちに見せ、その対処法を実践的に教えました。
- ハリー・ポッターと炎のゴブレット: 三大魔法学校対抗試合の第二の課題において、黒い湖に潜む障害物として多数のグリンデローが登場しました。彼らは水中を進む代表選手たちを執拗に攻撃し、フラー・デラクールを襲ってリタイアに追い込みました。ハリー・ポッターも足首を掴まれましたが、熱湯を噴出させる呪文で撃退しました。
習性と対処法
グリンデローは非常に攻撃的で、水中では人間を水中深くに引きずり込もうとします。彼らの長い指による握力は強力ですが、もろいため、強い力で指を折ることで拘束から逃れることが可能です。 魔法的な防御策としては、熱湯を噴出させる呪文が極めて有効です。作中でハリー・ポッターが使用した呪文は明示されていませんが、レラシオ (追い払い呪文) が同様の効果を持つことが知られています。
名前と語源
グリンデロー (Grindylow) という名前は、イギリスのヨークシャー地方の民間伝承に登場する同名の水棲生物に由来します。伝承におけるグリンデローは、水辺で遊ぶ子供たちを長い腕で水中に引きずり込むと言われる恐ろしい存在です。この設定は、J.K. ローリングの作品における描写と非常によく似ています。また、古代の叙事詩『ベオウルフ』に登場する怪物グレンデルとの関連性も指摘されています。
舞台裏情報
- 映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、原作の描写よりも頭足類に近い、より怪物的なデザインで描かれました。(映画設定)
- 『幻の動物とその生息地』における「XX(無害)」という分類は、小説本編での危険な描写と矛盾している点として、ファンの間でしばしば議論の対象となります。これは、同書が魔法生物学者であるニュート・スキャマンダーの視点で書かれているため、専門家にとっては「対処が容易」という意味合いで分類された可能性が考えられます。