ビーラの髪

ビーラの髪は、その源であるビーラが持つ、目を奪うような白金色の髪の毛そのものです。魔杖の芯として使用される場合、通常は一本の髪の毛が用いられます。作中で具体的に言及されたフラー・デラクール魔杖には、彼女のビーラの祖母から贈られた一本の髪の毛が芯として収められていました。

ビーラの髪は、魔杖の芯として使用される強力な魔法素材ですが、その性質は非常に「気まぐれ」であるとされています。著名な杖製造者であるギャリック・オリバンダーは、この芯材が気質的で、所有者の感情に過敏に反応する傾向があるため、自身の魔杖には使用しないと述べています。 この芯を持つ魔杖は、所有者との間に強い個人的な結びつきを形成する可能性がありますが、一度所有者の機嫌を損ねると、その性能を著しく低下させることがあります。一般的に、ユニコーンの毛ドラゴンの心臓の琴線不死鳥の羽根という三大芯材に比べ、熟練した魔法使いでなければ扱いが難しいとされています。

イギリスの杖作りであるギャリック・オリバンダーがこの素材を扱わないことから、少なくともイギリス国内ではあまり一般的な芯材ではないと考えられます。しかし、ビーラの血を引く魔法使いが存在するヨーロッパ大陸、特にフランスなどでは使用されている可能性があります。 歴史上、最も有名な使用例は、ボーバトン魔法アカデミーの代表選手であったフラー・デラクールが所有していた魔杖です。彼女の魔杖の芯は、彼女のビーラである祖母から贈られたものであり、家系に由来する非常に個人的なものでした。

ビーラの髪が物語で最も重要な役割を果たすのは、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』で開催された三大魔法学校対抗試合に先立つ「杖の検査」の場面です。 この検査で、ギャリック・オリバンダーフラー・デラクール魔杖ローズウッド製、9インチ半、芯はビーラの髪)を鑑定します。その際、彼はこの芯が「気まぐれ」であると評し、フラー自身もそれを認めています。このやり取りは、フラーがビーラの血を引いているという彼女の背景を強調すると同時に、ハリー・ポッターセドリック・ディゴリービクトール・クラムが持つ魔杖の芯材との違いを明確にし、杖学の多様性を示す役割を果たしました。

  • J.K. ローリングの公式サイト「Pottermore」(現在の Wizarding World)によると、ビーラの髪を芯に持つ魔杖は所有者を選ぶ傾向が非常に強く、気位が高いとされています。また、所有者が年老いたり、その魅力を失ったりすると、杖が「死んでしまう」ことがあるとも記されており、他の芯材には見られない特異な性質が補足されています。(Pottermore)