ピクシー
概要
ピクシーは、鮮やかな青色をした小型の魔法生物である。「ピクシー妖精」と呼ばれることもある。身長は最大8インチ(約20cm)で、非常にないたずら好きとして知られている。その小さな体格とは裏腹に驚異的な腕力を持ち、人間を持ち上げることさえ可能である。
基本情報
- 分類 (Classification): 魔法生物
- 魔法省分類 (Ministry of Magic Classification): XX (無害 / 飼育可能) (『幻の動物とその生息地』)
- 原産地 (Native to): イギリス、特にコーンウォール
- 特徴 (Distinguishing features): 鮮やかなエレクトリックブルーの体色、尖った顔、飛行能力
外見と性質
ピクシーは身長が最大で8インチに達する人型の魔法生物で、体色は非常に目立つエレクトリックブルーである。甲高いおしゃべりのような声でコミュニケーションをとるが、その言語を理解できるのはピクシー同士だけである。 彼らの性質は極めて悪質ないたずら好きであり、人間をからかったり、混乱を引き起こしたりすることに喜びを感じる。ギルデロイ・ロックハートがホグワーツの授業に持ち込んだ際には、教室を徹底的に破壊し、生徒のネビル・ロングボトムを耳で持ち上げてシャンデリアに吊るすなど、その凶暴な一面を見せた。 『幻の動物とその生息地』における「XX(無害)」という分類は、彼らが人間に致命的な危害を加えることはないという点を指していると考えられているが、その行動はしばしば厄介で手に負えないものとなる。
魔法能力と弱点
- 飛行能力 (Flight): ピクシーは翼を持たないように見えるが、空中を自由に飛翔することができる。
- 驚異的な腕力 (Superhuman Strength): その小さな体格に似合わず、非常に強い力を持っている。複数で協力すれば、人間の子ども(ネビル・ロングボトム)を簡単に持ち上げてしまうほどの力がある。
- 弱点 (Weaknesses): ピクシーの動きを封じるには、凍結呪文 (インモビラス) が有効であることが知られている。1992年の騒動の際、ハーマイオニー・グレンジャーがこの呪文を使って最後の数匹を鎮圧した。
作中での登場
ピクシーが物語で最も顕著に登場するのは、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』である。 1992年、新任の闇の魔術に対する防衛術の教授であったギルデロイ・ロックハートは、最初の授業で「実践的な経験」を積ませるという名目で、カゴ一杯のピクシーを教室に放った。しかし、彼はピクシーを全く制御できず、彼らが引き起こした大混乱を収拾することもできなかった。ロックハートが試みたペスキピクシ・ペステルノミという呪文は全く効果がなく、彼自身が作り出した偽の呪文である可能性が高い。 最終的に、授業の終わり際にハーマイオニー・グレンジャーが凍結呪文で残りのピクシーを無力化し、ハリー・ポッターとロン・ウィーズリーが後片付けをすることになった。
名前の由来
「ピクシー (Pixie)」という名前は、イギリスのコーンウォール地方の民間伝承に登場する神話上の生き物に由来する。伝承におけるピクシーも、本作と同様に小さく、いたずら好きで、しばしば人間を惑わす存在として描かれており、作中の設定はこの伝承に強く影響されている。
舞台裏情報
- 分類の矛盾 (Classification Discrepancy): 『幻の動物とその生息地』での「無害」という分類と、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』で見せた破壊的な行動との間には一見矛盾がある。これは、分類が「生命に対する危険度」を基準にしており、彼らの「厄介さ」や「破壊性」を評価するものではないためと解釈できる。
- 映画版での描写 (Film Portrayal): 映画『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、ピクシーは原作にはない昆虫のような半透明の羽を持つ姿でデザインされている。(映画設定)