優先呪文の効果
現象の基本情報
- 名称: プリオリ・インカンタテム (Priori Incantatem)
- 分類: 稀な魔法現象、魔杖学
- 効果: 二本の兄弟杖(同じ魔法生物から芯を提供された杖)が強制的に戦わされた際に発生する。一方の杖が、それまでに行った魔法を逆順で再現する「残響」を生み出す。
- 視覚的特徴: 杖の先端同士が金色の光線で繋がり、その光線に沿ってエネルギーのビーズが移動する。最終的に、光がドーム状に術者たちを覆うことがある。
詳細と実例
この現象の最も詳細に記録された実例は、1995年6月24日にリトル・ハングルトンの墓地で起きた、ハリー・ポッターとヴォルデモート卿の決闘である。
- 出現した「影」:
発生条件と対抗策
- 発生条件: この現象は、同じ魔法生物から芯(例えば、同じ不死鳥の尾羽や同じドラゴンの心臓の琴線)を得た二本の杖、すなわち兄弟杖が、互いの持ち主によって強制的に戦わされた場合にのみ発生する。これは極めて稀な状況である。
- 意志の力: どちらの杖が呪文を「吐き出す」側になるかは、術者の意志の力によって決まる。決闘においてより強い意志を持つ術者が、相手の杖にこの効果を強制することができる。
- 対抗策: 現象が発生した場合、唯一の対抗策は、術者の一方が杖の接続を物理的に断つことである。これにより魔法の連鎖が断ち切られ、現象は終了する。
名称の語源
「Priori Incantatem」はラテン語に由来する。
- Priori: ラテン語の「prior」(前の、先の)から来ている。
- Incantatem: ラテン語の動詞「incantare」(呪文を唱える、魔法をかける)の対格形に由来する。
- 全体の意味: 組み合わせることで「前の呪文」という意味になり、杖が過去の呪文を再現する効果を的確に表している。
関連情報
- 呪文「プライオア・インカンタート」: 「優先呪文の効果」という現象とは別に、特定の杖が最後に使った呪文を調べるための呪文としてプライオア・インカンタート (Prior Incantato) が存在する。これは魔法省の役人などが捜査に用いる調査呪文である。1994年のクィディッチ・ワールドカップの後、エイモス・ディゴリーがハリー・ポッターの杖にこの呪文を使い、闇の印 (モースモードル) が杖から放たれていないかを確認した。
- 映画での描写: 映画版『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では、この現象は青と赤の光線が繋がり、巨大な金色の光のドームを形成する壮大な視覚効果で描かれた。出現した「影」は、半透明の青白い姿で表現されている。(映画設定)