バーサ・ジョーキンズ

バーサ・ジョーキンズは、魔法省に勤務していた魔女です。彼女は物語の中で直接登場することはほとんどありませんが、その悲劇的な死と彼女から引き出された情報が、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』におけるヴォルデモート卿の計画の基盤を築く上で極めて重要な役割を果たしました。彼女の存在は、ヴォルデモートの冷酷さと、一見些細な出来事が魔法界の歴史を大きく左右することを示す象徴的な例となっています。

  • 外見
    1. 原作において、彼女の具体的な外見に関する詳細な記述はありません。
  • 性格
    1. 詮索好きで噂話が好き: シリウス・ブラックは、彼女が他人の秘密に首を突っ込むのが好きだったと述べています。
    2. 善良: 詮索好きではあるものの、シリウスは彼女を「根は善人 (all heart)」と評しており、悪意はなかったことが示唆されています。
    3. 忘れっぽい: 「穴の開いた大鍋のような頭 (head like a leaky cauldron)」と形容されるほど忘れっぽい性格でした。この性質は、バーテミウス・クラウチ・シニアにかけられた強力な忘却術によって、回復不可能なレベルまで悪化しました。
  • バーサの魔法使いとしての能力は平均的であったと考えられます。彼女はホグワーツの教育を修了し、魔法省の職員として勤務していました。
  • しかし、彼女は非常に強力な忘却術に抵抗することができず、その呪文によって精神的に深刻なダメージを負いました。ヴォルデモート自身も、彼女にかけられた呪文が並外れて強力であったため、それを破る過程で彼女の精神が「修復不可能なほど壊れてしまった」と述べています。
  • 彼女が所有していた特定の重要な魔法アイテムについての記述はありません。魔女であるため、を所有していたはずですが、その材質や芯などの詳細は不明です。
  • Bertha (バーサ): ゲルマン語由来の名前で、「輝かしい」「有名な」を意味します。物語における彼女の役割(あまり賢くなく、その名声は死後に悲劇的な形で得られた)を考えると、これは皮肉な命名と言えます。
  • Jorkins (ジョーキンズ): 特定の語源は明らかではありませんが、一般的なイギリスの姓の一つと考えられます。
  • バーサ・ジョーキンズの物語は、J.K. ローリングの緻密なプロット構築の一例です。一見すると些細な背景キャラクターが、一冊の物語全体の鍵を握る存在となる構成を示しています。
  • 映画版『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では、彼女の背景やヴォルデモートへの情報提供といったプロットは完全に省略されています。これにより、バーテミウス・クラウチ・ジュニアの生存が発覚する経緯が原作とは大きく異なっています。(映画設定)