原作において、魔法生物としてのアフリカの樹蛇の具体的な姿や生態に関する詳細な描写はありません。その名称は、現実世界（マグル界）に実在するヘビの一種である「ブームスラング (Boomslang)」を指していると考えられています。ブームスラングはアフリカのサハラ砂漠以南に生息する、非常に強力な毒を持つことで知られる樹上性のヘビです。 魔法界におけるアフリカの樹蛇が、マグルのものと全く同じ種であるか、あるいは魔法的な特性を持つ近縁種なのかは不明です。
アフリカの樹蛇は、その体の一部が強力な魔薬の材料となることで魔法界に知られています。 * 細かく刻んだ皮 (Shredded Skin): アフリカの樹蛇の最も重要で知られた用途は、その皮を材料として利用することです。
アフリカの樹蛇の皮がいつからポリジュース薬の材料として使われるようになったか、その具体的な歴史は不明です。しかし、この薬のレシピがホグワーツ図書館の禁書の棚に所蔵されている古典的な魔薬の教科書に載っていることから、その魔法的な価値は古くから一部の熟練した魔法薬士には知られていたと考えられます。
アフリカの樹蛇は、主にハリー・ポッターと秘密の部屋で重要な役割を果たします。 ハーマイオニー・グレンジャーは、ドラコ・マルフォイから「スリザリンの継承者」に関する情報を聞き出すため、ハリー・ポッターとロン・ウィーズリーがクラッブとゴイルに変身するためのポリジュース薬の調合を計画しました。 この計画において、アフリカの樹蛇の皮はセブルス・スネイプ先生の個人棚からハーマイオニーが盗み出すことによって入手されました。これは、この材料が一般の生徒では容易に入手できない希少品であることを示唆しています。
* 名前の由来 (Etymology): 英語の原作ではこの材料は “shredded skin of a Boomslang” と表記されています。“Boomslang” はアフリカーンス語で「木の蛇 (tree snake)」を意味し、日本語版の「アフリカの樹蛇」はこれを忠実に訳したものです。 * 現実世界の危険性 (Real-world Danger): 現実世界のブームスラングが持つ毒は非常に危険で、人間にとって致命的です。その毒は血液の凝固機能を破壊する作用（抗凝固作用）を持ちます。このような強力で危険な性質が、魔法界においても強力な変身薬の材料として選ばれる背景にあるのかもしれません。