ジェイコブ・コワルスキー (Jacob Kowalski) は、ポーランド系アメリカ人のノー・マジ(マグルのアメリカでの呼称)であり、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズにおける主要な男性キャラクターの一人である。(映画設定) 彼は、1920年代のニューヨークでパン屋を開くことを夢見る心優しい缶詰工場の労働者だった。偶然にもニュート・スキャマンダーとスーツケースを取り違えたことから魔法ワールドの騒動に巻き込まれ、ニュートの忠実な友人であり、レジリマンサーのクイニー・ゴールドスタインの恋人となる。 彼は、魔法の力を持たない一般人でありながら、魔法使いや魔獣たちと共に冒険を繰り広げるという、シリーズ全体でも極めて稀な立ち位置のキャラクターである。彼の視点は、観客を魔法ワールドへと誘う案内役としての役割を担っている。
第一次世界大戦に従軍した後、ジェイコブはニューヨークの缶詰工場で働いていた。彼は祖母のレシピを受け継いだパン屋を開業することを夢見ていたが、銀行からの融資を断られてしまう。その日、銀行で魔法動物学者のニュート・スキャマンダーと出会い、偶然にも中身が魔法動物でいっぱいのニュートのスーツケースと、自分のパンの試作品が詰まったスーツケースを取り違えてしまう。(映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』) 自宅でスーツケースを開けたジェイコブは、数体の魔法動物を逃がしてしまい、その騒動がきっかけでニュートと行動を共にすることになる。彼はニュートの魔法動物の捕獲を手伝う中で、アメリカ合衆国魔法議会 (MACUSA) の闇祓いであるティナ・ゴールドスタインと、その妹で人の心が読めるクイニー・ゴールドスタインと出会う。特にクイニーとは互いに惹かれ合い、ロマンチックな関係に発展した。最終的に、街に広がったオブスキュラスの騒動が解決した後、ノー・マジの記憶を消去する規則に従い、彼は魔法に関する記憶を消されることになった。しかし、ニュートがそっと渡したオカミーの銀の卵殻を担保にパン屋を開店し、成功を収める。記憶は失ったはずだったが、彼の作るパンには魔法動物の形をしたものがあり、訪れたクイニーを見て微笑んだことから、記憶の断片が残っていることが示唆された。(映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』)
前作の記憶消去は完全ではなく、クイニーとの再会によって魔法界の記憶を取り戻した。しかし、当時のアメリカ魔法界の法律では魔法族とノー・マジの結婚は固く禁じられており、二人の関係は壁に突き当たっていた。クイニーは彼を魔法で魅了してイギリスへ連れて行くが、魔法が解けたジェイコブと口論になり、失意のクイニーはゲラート・グリンデルバルドの甘言に乗り、彼の陣営に加わってしまう。ジェイコブは愛する人を失い、深い悲しみに暮れた。(映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』) その後、ジェイコブはクイニーを取り戻すため、アルバス・ダンブルドアによって結成された対グリンデルバルドのチームに唯一のノー・マジとして参加する。イルヴァーモーニー魔法魔術学校の呪文学教授ユーラリー・ヒックスから芯の入っていない杖を託され、魔法使いの一員として作戦に参加した。彼はその勇敢さと誠実さでチームに貢献し、最終的にブータンでの決戦の後、クイニーとの再会を果たした。二人はニューヨークにある彼のパン屋で、多くの友人たちに祝福されながら結婚式を挙げた。(映画『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』)
中肉中背で、口ひげをたくわえた温和な顔立ちの男性である。服装は労働者階級らしい、やや着古したスーツを好む。(映画設定) 性格は非常に心優しく、誠実で、ユーモアのセンスがある。彼は魔法の存在に驚き、感動する純粋な心を持ち合わせている。ノー・マジであるにもかかわらず、危険な魔法動物や闇の魔法使いに直面しても逃げ出さない驚くべき勇敢さと忠誠心の持ち主である。彼の存在は、しばしば緊張した状況を和ませるコメディリリーフの役割も果たす。
ジェイコブはノー・マジであり、生来の魔法能力は一切持たない。彼の最大の技術は、祖母譲りの卓越したパンや菓子の製造技術である。 『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』では、ユーラリー・ヒックスから芯のない蛇紋木製の杖を贈られる。これは魔法を発動することはできないが、彼が魔法使いのチームの一員であることを示す象徴的なアイテムであり、作戦においても重要な役割を果たした。(映画設定)