シビル・パトリシア・トレローニー (Sybill Patricia Trelawney) は、ホグワーツ魔法魔術学校の占い学の教授である。有名な予言者カサンドラ・トレローニーの子孫であり、本人も稀に本物の予言を行う能力を持つ。彼女がアルバス・ダンブルドアに対して行った、ヴォルデモート卿と彼を打ち破る力を持つ者に関する予言は、物語全体の引き金となった極めて重要な出来事である。普段の授業では大げさで芝居がかった言動が多く、多くの生徒や教授からインチキだと見なされているが、物語の核心に関わる二つの真実の予言を無意識下で行っている。
1980年代初頭、トレローニーは占い学教授の職を求めてホッグズ・ヘッドでアルバス・ダンブルドアとの面会に臨んだ。面接中、彼女は突然トランス状態に陥り、「闇の帝王に三度逆らった夫婦の元に、七月の終わりに生まれる男の子が闇の帝王を打ち破る力を持つ」という内容の、後に「予言の子」として知られる第一の予言を口にした。この予言の一部を当時死喰い人であったセブルス・スネイプが盗み聞きし、ヴォルデモート卿に報告した。ダンブルドアは、予言をしたトレローニーを死喰い人から保護するため、彼女をホグワーツ魔法魔術学校の教授として採用した。
トレローニーは北の塔の最上階にある教室で占い学を教え、毎年ハリー・ポッターの死を予言するなど、不吉な予測を繰り返すことで知られていた。その曖昧で劇的な授業スタイルから、ハーマイオニー・グレンジャーをはじめとする多くの生徒や、ミネルバ・マクゴナガルのような同僚教授からは、その能力を疑問視されていた。しかし、ハリー・ポッターの3年次には、彼に対して「今宵、闇の帝王のしもべが鎖を解かれ、主人と再び相まみえる手助けをする者が現れる」という第二の真実の予言を行った。この予言は、その夜にピーター・ペティグリューが逃亡することで成就した。
ドローレス・アンブリッジがホグワーツの「高級尋問官」に就任すると、トレローニーは彼女の格好の標的となり、授業を監視された末に解雇を言い渡された。しかし、ダンブルドアの介入により、彼女はホグワーツ城内に留まることを許された。その後、ケンタウル族のフィレンツェと共に占い学を教えることになった。 ホグワーツの戦いでは、彼女もまた城を守るために戦った。水晶玉を武器として用い、襲い来る死喰い人、特にフェンリール・グレイバックを撃退するなど、勇敢な一面を見せた。
トレローニーは非常に痩せており、彼女の目を昆虫のように大きく見せる巨大な眼鏡をかけている。きらびやかなショールをまとい、数多くのネックレスやブレスレットを身につけているのが特徴である。 性格は非常に芝居がかっており、常に謎めいた雰囲気を漂わせ、悲劇的な未来をささやくような声で語ることを好む。自身の能力に絶対の自信を持っているように振る舞うが、アンブリッジに詰問された際に見せたように、実際には非常に繊細で傷つきやすい一面も持つ。占い学という学問が軽んじられることに強い不満を抱いており、特に合理的な考えを持つマクゴナガル教授とはそりが合わなかった。