アクロマンチュラ
概要
アクロマンチュラ (Acromantula) は、人語を解する能力を持つ、巨大で極めて危険な蜘蛛の一種である。もともとはボルネオ島 (Borneo)の熱帯雨林に生息していたが、魔法使いによって実験的に生み出されたという説もある。その獰猛さと人間に対する敵意から、魔法省 (Ministry of Magic)による危険度分類では最高ランクの「XXXXX」(魔法使い殺し/飼育・懐柔不可能)に指定されている。 物語の中で最も有名なアクロマンチュラは、ルビウス・ハグリッド (Rubeus Hagrid)が育てたアラゴグ (Aragog)であり、彼とその一族がホグワーツ (Hogwarts)の禁じられた森 (Forbidden Forest)に巨大なコロニーを形成している。
身体的特徴
- サイズ: 成体のアクロマンチュラは非常に大きく、脚を広げた差し渡しは最大で15フィート(約4.6メートル)に達する。年老いた個体は小型の象ほどの大きさになることもある。
- 外見: 全身が黒く太い毛で覆われている。頭部には8つの眼があり、興奮したり怒ったりするとカチカチと音を立てる巨大なハサミ状の牙を持つ。高齢の個体や盲目の個体の眼は乳白色になる。
- 毒: 牙からは強力な毒を分泌する。この毒は非常に希少価値が高く、高値で取引される。
- 糸: 地面にドーム状の巣を張るために、粘着性の強い糸を紡ぐ。
習性と知能
- 知能: 人間に近い知能を持ち、複雑な人間の言葉を理解し話すことができる。しかし、その知能は極めて動物的な本能と結びついており、人間を獲物としか見なさない。
- 食性: 肉食性で、鹿や猪といった大型の哺乳類を好んで捕食する。人間も例外ではない。
- 社会性: 雌雄のつがいでコロニーを形成し、一度に数百個の卵を産む。卵はビーチボールほどの大きさで、白色の柔らかい殻に覆われている。
- 天敵: 唯一の天敵はバジリスク (Basilisk)であり、その名を口にすることさえ極度に恐れる。この恐怖は本能的なものである。
物語における役割
- ハリー・ポッターと秘密の部屋: ハリー・ポッター (Harry Potter)とロン・ウィーズリー (Ron Weasley)は、秘密の部屋 (Chamber of Secrets)を開けたとされる怪物に関する情報を得るため、アラゴグ (Aragog)を訪ねる。アラゴグはハグリッドの無実を証明するが、彼の子孫たちはハリーとロンを襲撃する。
- ハリー・ポッターと謎のプリンス: アラゴグ (Aragog)が老衰で死亡。ハグリッド (Hagrid)が葬儀を執り行う際、ホラス・スラグホーン (Horace Slughorn)が同行し、隙を見て貴重なアクロマンチュラの毒を大量に入手した。この出来事は、後にハリーがスラグホーンから重要な記憶を引き出すきっかけとなる。
- ハリー・ポッターと死の秘宝: ヴォルデモート卿 (Lord Voldemort)の軍勢によって禁じられた森 (Forbidden Forest)から追い出されたアクロマンチュラの群れが、ホグワーツの戦い (Battle of Hogwarts)に乱入。敵味方の区別なく、城壁をよじ登り、防衛側と死喰い人 (Death Eaters)の両方に襲いかかった。
魔法省による分類
- 分類: XXXXX
- 解説: 「魔法使い殺し/飼育・懐柔不可能」を意味する最高危険度。
- 関連法規: 1965年の「実験的飼育禁止法」により、アクロマンチュラの卵や成体の売買は固く禁じられている。(出典:幻の動物とその生息地 (Fantastic Beasts and Where to Find Them))
名前の由来
- 「Acromantula」という名前は、ギリシャ語の「acro」(先端、頂点)と、大型の毒蜘蛛である「tarantula」(タランチュラ)を組み合わせた造語だと考えられる。その巨大さと危険性を強調した命名である。
舞台裏情報
- 映画『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、アラゴグ (Aragog)が精巧なアニマトロニクス(機械人形)とCGIを組み合わせて表現された。そのデザインは、実在するウルフスパイダーをモデルにしている。(电影设定)