カスバート・モックリッジ

カスバート・モックリッジ (Cuthbert Mockridge)

カスバート・モックリッジは、魔法省に勤務する魔法使いであり、ゴブリン連絡事務所の室長を務めていました。彼は第四巻『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』において、パーシー・ウィーズリーの手紙の中で言及されるのみの脇役ですが、その存在は魔法省内部の官僚主義や、魔法使いと他の魔法生物との間の複雑な関係性を描写する上で重要な役割を果たしています。

モックリッジの詳しい経歴や人生については、原作小説においてほとんど語られていません。彼に関する唯一の情報は、1994年から1995年にかけての出来事、特にクィディッチ・ワールドカップ後の混乱期に言及されたものです。 当時、国際魔法協力部バーテミウス・クラウチ・シニアの部下として働いていたパーシー・ウィーズリーは、弟のロン・ウィーズリーに宛てた手紙の中でモックリッジについて触れています。パーシーは、自身の仕事の重要性を強調する文脈で、モックリッジを「反マグル」で「ゴブリンの権利について非常に奇妙な考えを持っている」“老いぼれ”だと軽蔑的に評しました。 この時期、ゴブリンたちはルード・バグマンの賭博による借金問題で魔法省と対立しており、ゴブリン連絡事務所の長であるモックリッジがその対応に追われていたことは想像に難くありません。しかし、彼の具体的な行動や功績に関する記録は残っていません。

原作小説には、カスバート・モックリッジの外見に関する記述は一切ありません。

彼の性格について知ることができる唯一の情報源は、パーシー・ウィーズリーによる主観的な評価です。パーシーによれば、モックリッジは以下のような人物とされています。

  • 保守的・偏見的: 「反マグル」であり、「ゴブリンの権利について非常に奇妙な考えを持っている」と評されており、伝統的で純血主義的な思想に近い考えを持っていた可能性があります。これは、当時の魔法使い社会の一部に根強く存在した偏見を反映していると考えられます。
  • 時代遅れ: パーシーから「老いぼれ (old duffer)」と呼ばれていることから、古風で、新しい考え方についていけない人物と見なされていたようです。

ただし、これらの評価は野心家で上昇志向の強いパーシーが、自身の部署の優位性を示すために他の役人をこき下ろしたものである可能性が高く、完全に客観的な事実であるとは限りません。

ゴブリン連絡事務所の室長という地位にあったことから、モックリッジは有能な魔法使いであったと推測されますが、彼の具体的な魔法の腕前、得意な呪文の仕様、守護霊の形状などについては一切不明です。

モックリッジが所有していた、あるいは使用した特筆すべき魔法の道具に関する記述は物語中にはありません。

  • パーシー・ウィーズリー: パーシーはモックリッジを軽蔑しており、自分の上司であるバーテミウス・クラウチ・シニアと比較して、彼の能力や思想を低く評価していました。この関係は完全に一方的なもので、モックリッジがパーシーをどう思っていたかは不明です。
  • ゴブリン: ゴブリン連絡事務所の室長として、彼は日常的にゴブリンたちと交渉や調整を行っていたはずです。しかし、パーシーの言葉を信じるならば、彼のゴブリンの権利に対する「奇妙な考え」は、両者の関係が緊張をはらんだものであった可能性を示唆しています。
  • Cuthbert (カスバート): 古英語の Cūþbeorht に由来する名前で、「有名な」「輝かしい」といった意味を持ちます。イングランドの著名な聖人である聖カスバートの名前でもあり、非常に伝統的で古風な響きを持つ名前です。これは、パーシーが彼を「老いぼれ」と評したイメージと一致します。
  • Mockridge (モックリッジ): “mock”(嘲る、見せかけの)と “ridge”(尾根)を組み合わせた姓である可能性があります。“mock” という言葉は、彼が(少なくともパーシーから)真剣に受け止められていない、あるいは彼の見解が嘲笑の対象であったことを暗示しているのかもしれません。

作者J.K.ローリングへのインタビュー、公式ウェブサイト「Pottermore」、映画、ゲームなど、七冊の原作小説以外の媒体において、カスバート・モックリッジに関する追加情報は提供されていません。彼は純粋に小説内の背景を豊かにするために創造されたキャラクターです。