ビーラ

ビーラ (Veela)

ビーラは、人間、特に男性を魅了する驚異的な美しさを持つ、人型の魔法生物です。普段は非常に美しい女性の姿をしていますが、怒ると恐ろしい鳥のような姿に変身する気性の激しい性質を持っています。彼女たちの踊りには強力な催眠効果があり、見た者を虜にします。1994年のクィディッチ・ワールドカップでは、ブルガリア・ナショナル・クィディッチ・チームの公式マスコットとして登場しました。

ビーラは二つの全く異なる姿を持ちます。

  • 平常時の姿: 肌は月のように輝き、白金の髪が風もないのに背後で扇のように広がる、息をのむほど美しい女性の姿をしています。この姿と踊りによって、ハリー・ポッターロン・ウィーズリーを含む多くの男性を魔法的に魅了し、彼らに自身の気を引くための愚かな行動を取らせました。
  • 激昂時の姿: 怒りを感じると、その美しい顔は長く伸びて鋭く意地悪いくちばしを持つ鳥の頭に変わり、肩からは鱗に覆われた大きな翼が生え、恐ろしい姿へと変身します。この状態では、手から火の玉を投げつけて攻撃することができます。

性質としては非常に気位が高く、感情の起伏が激しいとされています。侮辱されたと感じると、即座に怒りを爆発させます。

  • 魅了の魔法: ビーラの最も特筆すべき能力は、その歌と踊りを通じて男性を強力に魅了する魔法です。この魔法にかかった者は理性を失い、ビーラの気を引こうと突拍子もない行動を取ってしまいます。
  • 変身能力: 上記の通り、感情の昂りに応じて美しい女性の姿から恐ろしい鳥の姿へ、またその逆へと自在に変身することができます。
  • 炎の生成: 怒った際には、手の中に火の玉を生成し、武器として投げつける能力を持っています。
  • ビーラの髪: ビーラの髪は、の芯として使用されることがあります。ギャリック・オリバンダーによれば、ビーラの髪を芯にした杖は非常に「気まぐれ」な性質を持つとされています。フラー・デラクールの杖の芯は、彼女の祖母であるビーラから与えられた髪の毛でした。

ビーラは人間との間に子をなすことができます。その子孫は「半ビーラ (Part-Veela)」と呼ばれ、ビーラの血の濃さに応じてその特徴を部分的に受け継ぎます。

「ビーラ (Veela)」という名前は、スラブ神話に登場する精霊「ヴィラ (Vila)」に由来すると考えられています。神話におけるヴィラは、山や森に住む美しく若い女性の姿をした精霊で、歌や踊りで人を魅了する力を持つとされています。彼女たちは人間に対して友好的な場合もあれば、怒らせると恐ろしい力で罰を与えるという二面性を持っており、J.K. ローリングが描いたビーラの性質と酷似しています。

  • 映画版『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では、ビーラが怒りで変身する際、原作の「鳥の頭と鱗の翼」という描写とは異なり、より猛禽類のような顔つきになり、全身が炎に包まれてハーピーのような姿になるように描かれています。(映画設定)