ミュリエル・プルウェット

ミュリエル・プルウェット (Muriel Prewett) は、ウィーズリー家の大叔母にあたる高齢の魔女です。彼女は辛辣な物言いとゴシップ好きで知られていますが、第二次魔法戦争の際には、その気難しい性格にもかかわらず、自身の家をウィーズリー家の隠れ家として提供し、家族への忠誠心を示しました。物語においては、主にビル・ウィーズリーとフラー・デラクールの結婚式で重要な背景情報（特にアルバス・ダンブルドアの過去に関する噂）を語る役割を担っています。

ミュリエルの詳しい生い立ちは不明ですが、彼女は由緒ある純血の魔法族であるプルウェット家に生まれました。1997年8月の時点で107歳であったことから、1890年頃の生まれと推測されます。彼女はモリー・ウィーズリーの大叔母であり、第一次魔法戦争で命を落とした不死鳥の騎士団の英雄、ギデオン・プルウェットとフェービアン・プルウェットとも血縁関係にあります。

ミュリエルの物語における主な登場は、第二次魔法戦争中です。 1997年8月1日、彼女は隠れ穴で行われたビル・ウィーズリーとフラー・デラクールの結婚式に参列しました。その際、花嫁であるフラーに、しぶしぶながらも美しいゴブリン製のティアラを貸し与えました。式の間、彼女はエルファイアス・ドージと激しい口論を繰り広げ、リータ・スキーターの著書『アルバス・ダンブルドア その生涯と嘘』に書かれたスキャンダラスな内容を引用して、ダンブルドア家の暗い過去についての噂を広めました。彼女の辛辣な批評は、フラーのドレス、ゼノフィリウス・ラブグッドの服装、そして結婚式に出席しているハリー・ポッターの存在など、あらゆるものに向けられました。 ヴォルデモート卿が魔法省を掌握し、ウィーズリー家が危険に晒されると、アーサー・ウィーズリーは家族を連れてミュリエルの家に避難しました。彼女は非常に気難しい人物であるため、死喰い人たちから不死鳥の騎士団の協力者とは見なされておらず、その家は安全な隠れ家となりました。ウィーズリー家は数ヶ月間、彼女の庇護の下で過ごしました。

* 外貌: ミュリエルは小柄で、年齢を感じさせるしわくちゃの老婆として描かれています。ハリー・ポッターは彼女の顔を「意地悪なペキニーズ」のようだと評しました。結婚式では、派手なマゼンタ色の羽飾りのついた帽子をかぶっていました。 * 性格: 彼女の性格は極めて辛辣で、ゴシップ好き、そして非常に批判的です。思ったことをためらわずに口にし、しばしば周囲の人間を不快にさせます。しかし、その気難しい態度の裏では、危機に瀕した家族をためらうことなく助けるなど、プルウェット家の一員としての強い誇りと家族への義務感を持ち合わせています。

作中でミュリエルが特定の魔法を使用する場面はありません。しかし、107歳まで生き抜いた純血の魔女として、ホグワーツ魔法魔術学校で教育を受け、相応の魔法能力を持っていたと推測されます。

* ゴブリン製のティアラ: 彼女が所有する最も注目すべき物品。見事な細工が施されたゴブリン製のティアラで、結婚式の際にフラー・デラクールに「何か古いもの」として貸し与えました。彼女はこのティアラを非常に大切にしているようでした。

* ウィーズリー家: 彼女はモリー・ウィーズリー (旧姓 プルウェット) の大叔母であり、ウィーズリー家の子供たちにとっては大々叔母にあたります。気難しい性格のため、特にモリーからは煙たがられていますが、最終的には家族の避難場所を提供するなど、血族としての絆を重んじています。 * エルファイアス・ドージ: ビルとフラーの結婚式で、アルバス・ダンブルドアの評価を巡って彼と長く口論しました。ドージがダンブルドアを擁護する一方で、ミュリエルはリータ・スキーターが暴露したスキャンダルを信じ、それを広めることに熱心でした。 * リータ・スキーター: ミュリエルはスキーターのゴシップ記事や暴露本を熱心に読んでおり、彼女の情報源を鵜呑みにする傾向があります。

* Muriel: ケルト語由来の英語名で、アイルランド語の Muirgel（「輝く海」の意）から来ています。19世紀末から20世紀初頭にかけて一般的な名前であり、彼女の年齢設定と一致しています。 * Prewett: アングロ・ノルマン・フランス語の “prou”（「勇敢な」「勇敢な」）に由来する可能性があります。これは、不死鳥の騎士団のメンバーであったギデオンとフェービアンの勇敢な性格と関連していると考えられます。

* 映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では、女優マティエロック・ギブスがミュリエルを演じました。しかし、彼女の役柄は大幅に縮小されており、結婚式の場面には登場するものの、エルファイアス・ドージとの重要な会話は省略されています。（映画版）