スリザリンの継承者

「スリザリンの継承者」(Heir of Slytherin) とは、ホグワーツ魔法魔術学校の創設者の一人であるサラザール・スリザリンの直系の子孫を指す称号です。この継承者は、サラザール・スリザリンホグワーツの城の奥深くに作ったとされる秘密の部屋を開き、そこに潜む怪物を解き放つことができる唯一の存在であると信じられています。伝説によれば、継承者の使命は、スリザリンが不純であると考えたマグル生まれの生徒を学校から追放することにあります。 物語における正統な継承者は、トム・マールヴォロ・リドル、のちのヴォルデモート卿であることが判明します。

千年近く前、ホグワーツ魔法魔術学校の四人の創設者の間で、教育方針を巡る深刻な対立が生じました。特にサラザール・スリザリンは、魔法族の血統を重視し、マグル生まれの生徒の入学に強く反対しましたが、他の三人の創設者、特にゴドリック・グリフィンドールに受け入れられませんでした。 対立の末にホグワーツを去る際、スリザリンは秘密裏に「秘密の部屋」を建設しました。彼はその部屋に、自身の継承者だけが操れる古代の怪物(バジリスク)を封じ込めました。伝説では、いつか彼の正統な継承者が学校に現れ、部屋を開き、ホグワーツからマグル生まれの生徒を一掃するとされていました。この話は何世紀にもわたり、多くの校長や歴史家によって調査されましたが、部屋が発見されることはなく、単なる伝説と見なされていました。 1943年、当時ホグワーツの生徒であったトム・マールヴォロ・リドル秘密の部屋を開き、バジリスクを解放しました。この事件により、生徒の一人(のちの嘆きのマートル)が死亡しました。リドルは自身の犯行を隠蔽するため、当時三年生だったルビウス・ハグリッドとそのペットのアクロマンチュラであるアラゴグに罪を着せ、ハグリッドは退学処分となりました。

「スリザリンの継承者」であるための最も重要かつ決定的な資質は、蛇の言語であるパーセルタングを話す能力です。これはサラザール・スリザリン自身が持っていた稀有な能力であり、彼の子孫に代々受け継がれてきました。

継承者固有の魔法能力は、パーセルタングを介してバジリスクを完全に制御下に置けることです。バジリスクは極めて危険な魔法生物であり、その目を直接見た者を死に至らしめますが、継承者はこの力を自らの目的のために自由自在に行使できます。 トム・リドルの場合、彼はホグワーツ在学中から非常に優れた魔法の才能を示しており、継承者としての能力とは別に、彼自身の魔法の腕も極めて高い水準にありました。