ライカンスローピー

ライカンスローピー (Lycanthropy),日本語では一般に「人狼化」と訳される、魔法界における非常に深刻な病状または呪いである。この状態に陥った魔法使い人間は、毎月満月の夜になると、本人の意思とは無関係に、理性を失った凶暴な狼人間 (Werewolf) へと強制的に変身させられる。 変身した狼人間は、自身の人間としての記憶や理性を完全に失い、近くにいる人間を優先的に襲う極めて危険な存在となる。この状態は治療不可能とされており、魔法社会では深刻な偏見と差別の対象となっている。

ライカンスローピーは、すでに変身状態にある狼人間に噛まれ、その唾液が犠牲者の血に混入することによってのみ伝染する。これは不可逆的な感染であり、一度感染すると生涯にわたって影響が続く。

ライカンスローピーの最も顕著な症状は、満月の夜に起こる物理的な変身である。

  • 変身: 変身の過程は極めて苦痛を伴う。患者は人間としての理性を失い、純粋な狼人間となる。その姿は本物の狼と酷似しているが、鼻先がやや短く、瞳孔が人間的であるなど、微妙な差異が存在する。
  • 行動: 狼人間は本能的に人間を探し出して襲う。近くに人間がいない場合は、他の生物を襲うか、自分自身を傷つけることもある。変身中の出来事を、人間形態に戻った後に思い出すことはない。
  • 人間形態への影響: 満月が近づくと、患者は顔色が悪くなり、病的な様子を見せることがある。リーマス・ルーピンホグワーツの生徒や同僚から、定期的に体調を崩す人物として認識されていた。

ライカンスローピーを完全に治癒させる方法は、現在知られていない。しかし、その症状を緩和させるための非常に高度な魔法薬が存在する。

  • ウルフスベーン薬 (Wolfsbane Potion): この魔法薬は、ライカンスローピーの症状を管理するために発明された画期的なものである。満月に至る一週間の間、毎日服用することで、患者は変身後も人間としての理性を保つことができる。その結果、変身した狼人間は、眠りこける無害な狼となる。しかし、この薬は調合が極めて難しく、材料も高価であるため、多くの狼人間にとって手の届かないものとなっている。セブルス・スネイプは、ルーピンホグワーツで教鞭をとっていた期間、彼のためにこの薬を調合していた。

魔法社会において、狼人間は極度の恐怖と偏見の対象である。