フェンリル・グレイバック

フェンリル・グレイバックは、魔法界で最も野蛮で悪名高い狼人間であり、ヴォルデモート卿の追随者です。彼は正式な死喰い人ではありませんが(左腕に闇の印を刻まれていない)、第二次魔法使い戦争においてヴォルデモート卿の陣営で最も恐れられた存在の一人でした。特に子供を標的にして噛み、狼人間の仲間を増やして魔法社会を転覆させることを目論む、その残虐非道な性質で知られています。彼の存在は、狼人間に対する魔法社会の偏見と恐怖を象徴しています。

グレイバックの詳しい出自や狼人間になった経緯は不明ですが、彼は自らの呪われた運命を受け入れるどころか、それを積極的に信奉するようになりました。彼はリーマス・ルーピンが幼い頃、彼の父親であるライアル・ルーピンに侮辱されたことへの報復として意図的に彼を噛み、狼人間にしました。これが彼の最も有名な凶行の一つです。

第二次魔法使い戦争が激化すると、グレイバックはヴォルデモート卿に忠誠を誓い、その暴力性を存分に発揮しました。『ハリー・ポッターと謎のプリンス』では、ドラコ・マルフォイがボーギン氏を脅迫する際に彼の名前を利用しています。 彼は死喰い人と共にホグワーツに侵入し、天文学塔の戦い に参加しました。この戦いで彼はビル・ウィーズリーを襲撃し、彼の顔に深い傷を負わせました。グレイバックは変身していなかったため、ビルは完全な狼人間にはなりませんでしたが、生肉を好むなどの狼に似た性質を帯びるようになりました。 『ハリー・ポッターと死の秘宝』では、グレイバックは「人さらい」と呼ばれる、マグル生まれや「血を裏切る者」を捕らえては賞金を得る集団のリーダーとして活動していました。彼はハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーの三人を捕らえ、マルフォイの館へと連行しました。館では、彼はハーマイオニー・グレンジャーに対して異常な執着を見せました。 最終決戦であるホグワーツの戦い にも参加し、ラベンダー・ブラウンに襲いかかりましたが、ハーマイオニー・グレンジャーの呪文とシビル・トレローニーが投げつけた水晶玉によって撃退されました。最終的に、彼はロン・ウィーズリーネビル・ロングボトムの呪文を同時に受けて倒されました。

  • 外貌: 人間の姿の時でさえ、グレイバックは狼のような特徴を色濃く残していました。彼は体が大きく痩せており、もつれた灰色の髪とヒゲを持ち、声は耳障りな吠え声のようだと描写されています。彼の歯は尖っており、爪は黄色く長く伸びていました。常に土と汗と血の匂いを漂わせています。
  • 性格: 彼の性格は、サディスティックで極めて残忍です。特に子供の肉を渇望しており、満月で変身していない時でさえ人肉食への欲求を隠しません。彼は自らを「社会への奉仕」と称し、できるだけ多くの人間、特に子供を噛んで狼人間にし、親から引き離して育てることで、魔法使いを打倒する軍隊を作ろうと企んでいました。彼はヴォルデモート卿への忠誠心からではなく、より多くの獲物を得られるという機会主義から従っていました。
  • 狼人間 (Lycanthropy): グレイバックの最大の武器は、彼の狼人間としての能力です。満月の夜に変身すると、彼は超人的な力、スピード、耐久力を得ます。彼はこの状態を恐れるどころか、完全に受け入れています。
  • 追跡と戦闘: 人さらいのリーダーとして、彼は優れた追跡能力と戦闘技術を持っていました。彼は魔法よりも、牙や爪といった物理的な攻撃を好みます。
  • 闇の魔術: 彼は杖を積極的に使う姿はあまり見られませんが、闇の魔術とその信奉者たちの世界に深く関わっています。
  • フェンリル (Fenrir): 北欧神話に登場する巨大な狼「フェンリル」に由来します。神々に災いをもたらし、最終戦争ラグナロクで主神オーディンを飲み込むと予言されたこの怪物は、グレイバックの破壊的で獣性の強い性質を象徴しています。
  • グレイバック (Greyback): 「灰色の背中」を意味する単純で描写的な姓です。彼の灰色の髪や、狼の毛皮を連想させます。