メタモルフォまぐす

メタモルフォまぐす (Metamorphmagus) とは、自らの意志で身体的特徴、すなわち外見を自由自在に変化させることができる天性の能力を持つ魔女または魔法使いを指す。この能力は変身術のように後天的に学習するものではなく、生まれつき備わっている非常に稀な魔法的特性である。 この能力は遺伝することが知られており、感情の状態によって能力の制御が影響を受けることがある。物語における最も著名なメタモルフォまぐすは、不死鳥の騎士団のメンバーであるニンファドーラ・トンクスである。

メタモルフォまぐすの能力には、以下の特徴が含まれる。

  • 自在な外見変化: 髪や目の色、鼻の形、身長、体格など、身体のあらゆる部分を意のままに変えることができる。ニンファドーラ・トンクスは気分に応じて髪の色をピンクや紫に変えたり、他人を楽しませるために鼻を豚やアヒルのくちばしのように変形させたりした。
  • 生得的な能力: この能力は血筋によって受け継がれるものであり、訓練や学習によって習得することはできない。魔法使いはメタモルフォまぐすとして生まれるか、そうでないかのどちらかである。
  • 遺伝性: この特性は親から子へと遺伝する可能性がある。ニンファドーラ・トンクスリーマス・ルーピンの息子であるテディ・ルパンは、生まれて間もなく髪の色を変化させ、母親から能力を受け継いだことが示された。
  • 感情との連動: 強い感情、特に精神的な苦痛は、メタモルフォまぐすの能力制御に大きな影響を及ぼす。トンクスはリーマス・ルーピンへの想いに悩んでいた際、自身の能力をコントロールできなくなり、髪がくすんだネズミ色に固定されてしまった。また、この強い感情は彼女の守護霊の姿をも変化させた。

現在、原作で名前が言及されているメタモルフォまぐすは二人だけである。

メタモルフォまぐすの能力は他の魔法と混同されることがあるが、明確な違いが存在する。

  • 変身術: 杖と呪文を用いて対象の姿を変える、高度な学習を必要とする魔法分野。自己変身も可能だが、メタモルフォまぐすのように呪文なしで瞬時に、かつ自在に姿を変えることはできない。
  • ポリジュース薬: 特定の人物の身体の一部(主に髪の毛)を使って作られる魔法薬。服用者は一定時間、その人物そっくりに変身できるが、効果は一時的であり、声は変わらない(映画設定では声も変わる)。また、人間以外の動物に変身しようとすると深刻な副作用が生じる。
  • 動物もどき (アニマ―ガス): 特定の一種類の動物に自らの意志で変身する能力。魔法省への登録が必要であり、変身できる動物は個人の特性によって一種類に固定される。

Metamorphmagus という言葉は、いくつかの語源から構成されている。

  • meta-: ギリシャ語で「変化」「超越」を意味する接頭辞。
  • morphē: ギリシャ語で「形」「姿」を意味する。
  • magus: ラテン語で「賢者」「魔法使い」を意味する。

これらを組み合わせると、「姿を変える魔法使い」という意味になる。

  • J.K. ローリングは、メタモルフォまぐすは極めて稀な存在であると述べている (Pottermore)。
  • トンクスのキャラクターにこの能力が与えられたのは、彼女が少し不器用で自分自身に不満を抱えている部分を、外見を頻繁に変えることで表現するためであったとされる (作者インタビュー)。
  • 映画版では、トンクスの外見変化が視覚効果によって効果的に表現され、彼女の快活で個性的な性格を際立たせている。