変身術

変身術 (Transfiguration) は、物体の本質的な性質、すなわち 何であるか を変化させる魔法の一分野です。これは、物体の振る舞い、すなわち 何をするか を変えるチャーム (Charm)とは対照的です。変身術は魔法の中でも特に科学的で厳格な分野と見なされており、成功させるには正確なの動き、明瞭な呪文の詠唱、そして術者の強い集中力が不可欠です。ミネルバ・マクゴナガル教授は、これを「最も難しく危険な魔法の一つ」と評しています。

変身術は厳格な魔法の法則に支配されており、その中でも最も有名なものがガンプの元素変身の法則 (Gamp's Law of Elemental Transfiguration)です。この法則には5つの例外が存在し、その中で最も知られているのは「食料は無から作り出すことはできない」というものです。

  • 食料は、それがどこにあるかを知っていれば呼び寄せることができます。
  • 既存の食料を増やすことはできます。
  • 何か別のものを食料に変身させることはできますが、それはあまり栄養価が高くないか、満足のいくものにはならないとされています。

この法則は、ハーマイオニー・グレンジャーが『ハリー・ポッターと死の秘宝』で言及しています。

変身術はいくつかの主要な分野に大別されます。

  • 変身 (Transformation): ある物体を別の物体に完全に変化させる技術です。これは変身術の最も基本的な形態です。例としては、マッチ棒を針に変える、ネズミを嗅ぎタバコ入れに変えるなどが挙げられます。
  • 消失 (Vanishing): 物体を「無」の中に消し去る、より高度な技術です。このための呪文は //エバネスコ// (Evanesco) です。これはO.W.L.試験レベルで教えられ、正確に行うには高い能力が求められます。
  • 出現 (Conjuration): 物体を無から作り出す技術です。これは消失術の対極にあり、N.E.W.T.レベルの非常に高度な魔法です。//アクアメンティ// (Aguamenti)で水を出現させるのがその一例です。ガンプの法則により、出現させられるものには制限があります。
  • 人体変身術 (Human Transfiguration): 人間自身、または人間の一部を変化させる、極めて複雑で危険な分野です。

変身術は、少しでも手順を誤ると悲惨な結果を招く可能性があります。術が不完全だと、対象が半分だけ変身した状態で固まってしまうことがあります。マクゴナガル教授は最初の授業で、変身術をふざけて行う生徒は、半分ネコになったままホグワーツを去ることになるだろうと警告しました。ロン・ウィーズリーの壊れた杖は、変身術の呪文を逆効果にしたり、不完全な結果をもたらしたりしました。

変身術はホグワーツ魔法魔術学校の必修科目であり、1年生から5年生まで全員が学びます。O.W.L.試験の重要科目の一つであり、その後はN.E.W.T.レベルの選択科目となります。闇祓いのような職業を目指す生徒にとっては必須の学問です。長年にわたりアルバス・ダンブルドアが教鞭をとり、その後をミネルバ・マクゴナガルが引き継ぎました。