変身術

* 呪文 (Incantation): 特定の呪文はない。変身の対象や目的によって無数の呪文が存在する。 * 杖の動き (Wand Movement): 各呪文によって厳密に定められており、極めて高い正確性が求められる。 * 光の色 (Light Color): 呪文によって異なる。 * 効果 (Effect): 物体や生物の分子的構造を変化させ、その本質的な形態を別のものに変える。 * 分類 (Type): 魔法の主要分野、学術的魔法

変身術 (Transfiguration) は、魔法界において最も科学的かつ精密さを要求される、複雑で危険な魔法分野の一つです。この魔法は、対象の外見だけを変化させる幻術 (Charm) とは根本的に異なり、その存在の本質、すなわち分子的構造レベルから完全に別のものへと変えてしまいます。 ホグワーツ魔法魔術学校では1年生からの必修科目であり、その重要性が示されています。かつてはアルバス・ダンブルドアが、彼の校長就任後はグリフィンドールの寮監でもあるミネルバ・マクゴナガルがこの科目を担当しました。二人とも、変身術の歴史において最も優れた使い手として知られています。 変身術は、マッチ棒を針に変えるといった無機物間の基本的な変身から、動物をゴブレットに変えるような生物・無機物間の変身、さらには人間を変身させる極めて高度で危険な術まで、幅広い応用が存在します。 作中での主な使用例:

変身術は、魔法の中でも特に厳格な学問分野とされ、成功させるには強い集中力、明確な意志、そして寸分違わぬの動きが不可欠です。少しでも気を抜いたり手順を間違えたりすると、対象が半分だけ変身した悲惨な状態(例えば、ヒゲの生えたティーカップなど)で固まってしまう危険性があります。 初歩的な変身の失敗を元に戻すための呪文として「レパリファージ (Reparifarge)」が存在します。より高度な変身術や、人間に対してかけられた強力な変身を解くための明確な対抗呪文は知られていませんが、術者の魔法を無効化するか、一般的な防御呪文であるプロテゴなどが一定の効果を持つ可能性があります。

英語の “Transfiguration” は、ラテン語で「~を越えて」「別の状態へ」を意味する接頭辞 “trans-“ と、「形」「姿」を意味する “figura” から成り立っています。その名の通り、「形を越えて変える」ことを意味する、非常に的確な名称です。

  • J.K. ローリングが公式サイト Pottermore で明かした設定によると、変身術には「ギャンプの元素変身術の法則 (Gamp's Law of Elemental Transfiguration)」という、変身における普遍的な法則が存在します。この法則には5つの主要な例外があり、その中で最も有名なのが「食物」です。食物は無から作り出すことはできませんが、既にある食物の量を増やしたり、別のものに変えたりすることは可能です。(Pottermore)