動く階段

動く階段は、ホグワーツ城の内部交通を担う主要な建築要素であり、城の魔法的で予測不可能な性質を象徴する存在である。城内には合計で142もの階段が存在し、その多くがこの「動く階段」の特性を持っている。 これらの階段は、決まった時間にしか特定の場所に繋がらなかったり、金曜日には全く違う場所へ通じていたりするなど、気まぐれにその行き先を変える。そのため、新入生は特に道に迷いやすく、ハリー・ポッター自身も入学初週に階段のせいで授業に遅れそうになった。 さらに、階段の中には「仕掛け階段」と呼ばれるものも存在する。これは、途中の段が突然消える罠であり、注意していないと足を踏み外してしまう。ネビル・ロングボトムのように、うっかりした性格の生徒は頻繁にこの罠の犠牲になっていた。 階段が設置されている大階段の吹き抜けの壁には、歴代の校長や著名な魔法使いの肖像画がびっしりと掛けられている。これらの肖像画は意識を持っており、生徒たちに話しかけたり、道案内をしたり、時には皮肉を言ったりすることもある。彼らは肖像画のフレーム間を自由に行き来できるため、城内の情報伝達にも一役買っている。 この階段がいつ、誰によって作られたかについての明確な記述は原作にはないが、ホグワーツの創設者たちによる城の基礎設計の一部として、古代の強力な魔法によって生み出されたものと考えられている。

動く階段は、物語の重要な転換点で舞台装置として機能することがある。

全体として、動く階段はホグワーツ城の「生きていて、独自の意志を持っている」かのような神秘的な雰囲気を強調する上で、不可欠な要素である。

動く階段自体が一個のエリアだが、その構成要素として以下のものが挙げられる。

  • 大階段塔 (Grand Staircase Tower): 主要な動く階段が集中している、城の中心的な吹き抜け空間。
  • 仕掛け階段 (Trick Stairs): 途中の段が消える罠が仕掛けられた特定の階段。生徒たちはどの階段が危険かを記憶しておく必要がある。
  • 映画の描写 (映画設定): 映画シリーズでは、動く階段はより視覚的に壮大に描かれている。原作の「行き先が変わる」という描写に加え、無数の階段が巨大な空間を浮遊し、互いに連結・分離を繰り返す、M・C・エッシャーのだまし絵のような複雑な構造として表現された。このデザインは映画シリーズの象徴的なビジュアルの一つとなり、後のゲーム作品などにも大きな影響を与えた。
  • ゲームでの登場 (ゲーム設定): ビデオゲーム『ホグワーツ・レガシー』などでも、映画のデザインを踏襲した壮大な動く階段が登場し、プレイヤーは実際にその複雑な構造を探索することができる。