空飛ぶフォード・アングリア
基本情報
- 製作者 (Maker): フォード・モーター・カンパニー (車体)、アーサー・ウィーズリー (魔法の改造)
記述と外観
空飛ぶフォード・アングリアは、もともとはマグルの自動車であるフォード・アングリア105Eモデルであった。色はターコイズ(空色)で、アーサー・ウィーズリーが違法に魔法をかけて改造したものである。外見は古びており、所々錆びが見られる。 この車の最も注目すべき物理的特徴の一つは、内部にかけられた検知不可能拡大呪文である。外見は小型のファミリーカーだが、車内は8人の人間、6つの大きなトランク、2羽のフクロウ、そして1匹のネズミを同時に収容できるほど広々としている。これは、ウィーズリー家が一度に移動するために必要な改造だった。
魔法の特性と用途
このフォード・アングリアには、アーサー・ウィーズリーによっていくつかの重要な魔法の機能が追加されている。
- 飛行能力: この車の最も基本的な魔法の特性。エンジンを始動させると、航空機のように空を飛ぶことができる。
歴史
この車は、マグル工芸品に深い興味を持つアーサー・ウィーズリーによって入手され、魔法省の規制に違反して秘密裏に改造された。彼はこの車を「分解して元に戻す」ことで、マグルのテクノロジーを研究していると妻のモーリー・ウィーズリーに説明していた。 1992年の夏、フレッド・ウィーズリー、ジョージ・ウィーズリー、そしてロン・ウィーズリーは、この車を使ってダーズリー家に監禁されていたハリー・ポッターをプリベット通り4番地から救出した。 同年9月1日、ドビーの妨害によってキングズ・クロス駅の9と3/4番線の入口を通過できなかったハリーとロンは、この車を使ってホグワーツ魔法魔術学校まで飛行した。しかし、道中で姿くらましブースターが故障し、多くのマグルに目撃されてしまう。この一件は魔法省に重大な国際機密保持法違反として報告され、アーサー・ウィーズリーは懲戒尋問を受けることになった。 ホグワーツに到着した際、車は制御を失い城の敷地内にある暴れ柳に激突。大きな損傷を受けた車は、ハリーとロン、そして彼らの荷物を外に放り出した後、禁じられた森へと走り去った。
物語における役割
空飛ぶフォード・アングリアは、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』において極めて重要な役割を果たす。 第一に、ハリーをダーズリー家から救出する場面では、魔法界からの救いの手と自由の象徴として登場する。第二に、ホグワーツへの移動手段として、物語の主要な舞台へ二人を送り届けるというプロット上の役割を担った。 そして最も決定的な役割は、ハリーとロンが禁じられた森でアラゴグとその子孫である巨大蜘蛛の群れに襲われた際に、デウス・エクス・マキナとして現れ、二人を窮地から救い出したことである。この時、車は野生化しながらも、かつての乗員への忠誠心のようなものを見せた。
舞台裏情報
- J.K. ローリングの親友がフォード・アングリアを所有しており、それが作者にとって懐かしい思い出であったことが、この車を物語に登場させるきっかけとなった。(Pottermore)
- 映画版『ハリー・ポッターと秘密の部屋』で使用された車のナンバープレートは「7990 TD」である。(映画設定)