薬瓶

薬瓶は、一般的にガラスや水晶で作られた小さな瓶であり、主に液状の物質を保管するために用いられる。多くはコルク栓で封をされており、形状や大きさは多岐にわたる。 内容物によってその外観は大きく変わる。例えば、幸運の液体 (フェリックス・フェリシス) が入った薬瓶は、中身が溶けた黄金のように輝いて見える。一方、記憶を保管する薬瓶は、しばしば水晶で作られ、中に渦巻く銀色の物質が透けて見える。アルバス・ダンブルドアの校長室には、こうした記憶の入った薬瓶が数多く棚に並べられていた。

薬瓶の主な用途は、その魔法的特性を損なうことなく、物質を安全に保管することである。特に重要な用途は以下の二つである。

薬瓶という道具自体に特定の歴史的背景は語られていない。しかし、その存在は魔法薬学記憶を扱う魔法の発展と密接に関連している。特に、憂いの篩と共に記憶を保管する技術は、古くから存在する高度な魔法の一つであると考えられる。ホグワーツ魔法魔術学校の創設以来、数多くの魔薬の達人や研究者が、自らの発見や調合した薬を保管するために薬瓶を使用してきたと推測される。

薬瓶は、物語の重要な転換点において、鍵となる情報を内包する容器として繰り返し登場する。 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』では、ハリー・ポッターホラス・スラグホーンから手に入れた薬瓶入りの幸運の液体 (フェリックス・フェリシス)が、スラグホーンの改竄された記憶の真実を引き出す上で決定的な役割を果たした。その本物の記憶もまた薬瓶に保管され、ヴォルデモート卿分霊箱に関する最大の秘密を暴くことにつながった。 『ハリー・ポッターと死の秘宝』において最も重要な容器(作中ではハーマイオニーが魔法で作り出したフラスコ)は、死に瀕したセブルス・スネイプがハリーに託した記憶を収めたものである。この記憶によって、ハリーはスネイプの真の忠誠心、ダンブルドアの計画の全貌、そして自らが最後の分霊箱であり、死なねばならないという衝撃の真実を知ることになった。 このように、薬瓶は小さな道具でありながら、物語の根幹を揺るがす秘密や力を秘めた象徴的なアイテムとして機能している。

  • 映画版では、記憶を収めた薬瓶はしばしば精巧なデザインと手書きのラベルが施されており、視覚的に印象深い小道具として描かれている。(映画設定)