カドガン卿

カドガン卿 (Sir Cadogan) は、ホグワーツ魔法魔術学校の七階の踊り場にある肖像画に描かれた騎士である。彼は、無謀ともいえるほどの勇敢さと、挑戦を求める過剰な熱意で知られている。物語の中では、太ったレディシリウス・ブラックに襲われた後、一時的にグリフィンドール寮の入り口の番人を務めた。その性格はしばしばコミカルに描かれるが、ホグワーツへの忠誠心は本物であり、ホグワーツの戦いでは城の防衛者たちを鼓舞した。

カドガン卿の人生は、生前の歴史的なものと、ホグワーツの肖像画としての生活に分けられる。

カドガン卿が初めて登場するのは、ハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーが初めて「占い学」の授業に向かう途中である。彼は出会う生徒たちに決闘を挑むなど、好戦的な性格を見せた。太ったレディの肖像画がシリウス・ブラックによって切り裂かれた後、アルバス・ダンブルドアの指名により、一時的にグリフィンドール寮の肖像画の番人を引き受けた。しかし、彼は非常に複雑で頻繁に変わる合言葉(「フォルトゥナ・マジョール」など)を設定し、生徒たちを困らせた。最終的に、ネビル・ロングボトムが書き留めた合言葉のリストをシリウス・ブラックが手に入れ、寮への侵入を許してしまう。この失態により、彼は番人を解任され、太ったレディが役職に復帰した。

ホグワーツの戦いの最中、カドガン卿は自身の肖像画の枠から枠へと愛馬に跨って駆け巡り、剣を振りかざしながらホグワーツの防衛者たちを鼓舞し、声援を送った。彼は不死鳥の騎士団ダンブルドア軍団の側に立ち、最後まで城への忠誠を示した。

J.K.ローリングが公式サイト Pottermore で明かした情報によると、カドガン卿は実在した魔法使いであり、アーサー王に仕えた円卓の騎士の一人であった。彼は偉大な魔法使いマーリンの友人でもあったという。彼の最も有名な伝説は、ワイ川のワイバーンとの対決である。この戦いで彼は愛馬を失い、杖を折られたが、最終的には折れた杖の破片から放った呪文でワイバーンを内部から爆発させ、見事に討ち取ったとされる (Pottermore)。

  1. 外見:

肖像画の中のカドガン卿は、身体に合っていない鎧を身に着けた、短気そうな見た目の小柄な騎士として描かれている。彼は常に太った灰色のポニーに跨っている。

  1. 性格:

彼の性格は 極めて勇敢 であるが、その勇敢さはしばしば無謀さや向こう見ずさと紙一重である。挑戦や危険な任務を何よりも好み、自ら困難に飛び込んでいくことを名誉と考えている。古風で芝居がかった口調で話し、常に決闘を申し込むなど、非常に好戦的で喧嘩っ早い一面も持つ。一方で、その忠誠心は本物であり、ホグワーツとその生徒たちを守るという強い意志を持っている。

肖像画の住人であるため、彼が自ら魔法を使う場面は描かれていない。しかし、生前の彼はワイバーンを倒すほどの強力な魔法使いであったことが示唆されている (Pottermore)。肖像画としては、剣術に長けており、常に剣を抜いて威嚇する。また、他の魔法のかかった肖像画と同様に、城内の異なる肖像画の間に移動する能力を持っている。

  1. 鎧 (Suit of Armour): 彼の騎士としての身分を象徴する、身体に合っていない鎧。
  2. 剣 (Sword): 彼が常に携え、振りかざす武器。
  3. ダービー (Derby): 彼の愛馬である太った灰色のポニー。(Pottermore)
  1. 太ったレディ (The Fat Lady): カドガン卿が一時的に彼女の役職を奪ったため、二人の関係は良好とは言えない。太ったレディは彼を厄介者と見なしていた。
  2. ネビル・ロングボトム (Neville Longbottom): ネビルがカドガン卿の合言葉をすべて書き留めて紛失したことが、シリウス・ブラックグリフィンドール塔侵入の直接的な原因となった。
  3. ハリー・ポッターと友人たち: 彼らはカドガン卿を風変わりで少し迷惑な存在だと感じていたが、彼のホグワーツへの忠誠心は認めていた。
  4. アルバス・ダンブルドア (Albus Dumbledore): グリフィンドール寮の安全を守るため、カドガン卿に番人の任務を託した。

「Cadogan (カドガン)」はウェールズ語由来の名前で、「cad (戦い)」と「gwgan (栄光、または、しかめ面をする者)」という単語から来ている可能性がある。これは彼の好戦的で名誉を求める性格に非常によく合致している。「Sir (卿)」は騎士に与えられる敬称である。

  1. 映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、カドガン卿の役割は大幅に縮小されている。彼は登場するものの、グリフィンドール寮の番人を務めるエピソードは完全にカットされた。(映画設定)
  2. J.K.ローリングは Pottermore を通じて、彼の背景、特にワイ川のワイバーンとの戦いに関する詳細な物語を提供した。これは、彼の勇敢さが単なる肖像画上の演出ではなく、生前の経験に基づいていることを示している。(Pottermore)