ガンポの基本変身術の法則

ガンポの基本変身術の法則

ガンポの基本変身術の法則 (Gamp's Law of Elemental Transfiguration) は、魔法界における変身術の根幹をなす五つの基本法則の一つです。この法則の最も重要な原則は、「無から有を生み出すことはできない」という点にあります。魔法使いは多くの驚異的なことを成し遂げることができますが、完全な無の状態から物質を創造することは、この法則によって制限されています。 この法則には5つの主要な例外が存在しますが、原作小説の中で明確に言及されているのはそのうちの一つだけです。

ガンポの法則は、物質の創造に関する魔法の限界を定めています。何かを変身させたり、移動させたり、増やしたりすることは可能ですが、何もない空間からそれを「創造」することはできません。 この法則には5つの例外が存在し、それらのカテゴリーに属するものは魔法で創り出すことができないとされています。

  • 食物 (Food): これは原作で唯一明かされた例外です。ハーマイオニー・グレンジャーによれば、魔法使いは食物を無から作り出すことはできません。しかし、食物に対して以下の魔法を行使することは可能です。
    • 既にある食べ物の量を増やすこと(複製呪文など)。
    • どこにあるか分かっている食べ物を呼び寄せること(呼び寄せ呪文)。
    • 別の物体を食べ物に変身させること(ただし、このようにして作られた食物は栄養価が低い、あるいは満足感が得られない可能性があると示唆されています)。
  • 残りの4つの例外: 原作小説シリーズ全7巻を通じて、食物以外の4つの例外が何であるかは明かされていません。

この法則が物語で最も重要な役割を果たすのは、『ハリー・ポッターと死の秘宝』においてです。分霊箱を探す旅の途中、ハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーの三人は食料不足に苦しみます。 ロンがなぜハーマイオニーが魔法で美味しい食事を出してくれないのかと不満を漏らした際、ハーマイオニーがこの法則を引用して「できないものはできないの」と説明しました。この場面は、彼らが直面している過酷な現実と、いかに強力な魔法使いであっても従わなければならない魔法の根本的なルールを浮き彫りにしています。それはまた、彼らのサバイバル生活における困難さを強調し、後のロンの一時的な離脱の伏線ともなりました。

この法則は、発見者あるいは提唱者である「ガンポ」という名の魔法使いにちなんで名付けられました。 初代魔法大臣を務めたユーリック・ガンポ (Ulick Gamp) が、この法則を体系化した人物であると考えられています。(Pottermore)

  • J.K. ローリングは、ファンからの質問に対し、ガンポの法則における残りの4つの例外について彼女のメモには存在することを示唆しつつも、公には明らかにしていません。そのため、これらはファンの間で活発な議論の的となっています。
  • 「食物」が例外であるという設定は、物語に都合の良い解決策(いつでも食事が手に入ること)を排除し、登場人物たちに現実的な困難を与えるための重要なプロットデバイスとして機能しています。