グリゼルダ・マーチバンクス

グリゼルダ・マーチバンクス (Griselda Marchbanks) は、魔法試験局の局長であり、ウィゼンガモットの上級議員を務める、非常に高齢で尊敬される魔女です。彼女はアルバス・ダンブルドアが学生だった頃の試験官を務めた経験を持ち、物語の中では魔法省によるホグワーツへの不当な干渉に反対する、学問の公正さと独立性の象徴として描かれています。

マーチバンクス教授の正確な年齢は不明ですが、彼女はアルバス・ダンブルドアN.E.W.T.試験 (イモリ試験) で、変身術呪文学の試験官を務めたと自ら語っており、その際「杖を使って見たこともないような呪文を繰り出した」とダンブルドアの才能を回想しています。このことから、彼女は魔法界で最も長老格の人物の一人であることがわかります。 長年にわたり、彼女はウィゼンガモットの重鎮として魔法界の司法に携わってきました。しかし1995年、コーネリウス・ファッジ大臣がドローレス・アンブリッジホグワーツ高等尋問官に任命するという布告を出したことに強く抗議し、その職を辞任しました。これは、彼女がホグワーツの教育への政治的介入を断固として拒絶する、高い見識と勇気の表れでした。 同年、彼女は魔法試験局局長としてハリー・ポッターの世代のO.W.L.試験 (フクロウ試験) を監督しました。闇の魔術に対する防衛術の実技試験では、ハリー・ポッターが試験という極度の緊張下で実体のある守護霊の呪文を呼び出したことに深く感銘を受け、アンブリッジが試験を妨害しようとした際もそれを毅然と退け、公正な評価を下しました。

マーチバンクス教授は「クモの巣のように深いシワが刻まれた」顔立ちの、非常に年老いた魔女として描写されています。白い髪の上には、先のとがった帽子を傾けてかぶっています。片方の耳が少し遠い様子も見られます。 性格は極めて公明正大かつ厳格で、強い信念を持っています。魔法省の権威にも臆することなく自らの信条を貫き、ウィゼンガモットを辞任したことからも、その気骨がうかがえます。試験官としては、受験者の魔法能力を先入観なく評価し、真に優れた才能を正当に認めます。アルバス・ダンブルドアホグワーツに対して深い敬意を抱いています。

彼女自身の魔法の実演は作中で描かれていませんが、その経歴が彼女の卓越した魔法能力を物語っています。

  • 魔法知識: ダンブルドアを含む何世代もの魔法使いを評価してきた魔法試験局のトップとして、あらゆる魔法分野にわたる広範かつ深い知識を持っていることは間違いありません。
  • 評価能力: 魔法の才能を正確に見抜く鋭い眼識を持っています。ハリーの守護霊の呪文の高度さを即座に理解し、高く評価しました。

特に彼女が所有する重要な魔法アイテムについての記述は、原作にはありません。

  • アルバス・ダンブルドア: 学生時代から彼の並外れた才能を知っており、彼に対して最大限の敬意と信頼を寄せています。彼女の行動の多くは、ダンブルドアと彼が守るホグワーツの理念への支持に基づいています。
  • ハリー・ポッター: 公正な試験官として接し、彼の類稀な魔法能力を高く評価しました。彼女の態度は、アンブリッジの不当な評価とは対照的でした。
  • ドローレス・アンブリッジ: 彼女を教育に不必要な政治的干渉者とみなし、明確な軽蔑を示しています。実技試験の際にはアンブリッジの存在を意図的に無視しました。
  • オーガスタ・ロングボトム: ネビル・ロングボトムの祖母であるオーガスタとは旧知の友人です。(Pottermore)
  • Griselda (グリゼルダ): 古高ドイツ語に由来する名前で、「灰色の戦い (grey battle)」を意味します。彼女の年齢(灰色)と、信念を貫くための静かな戦いの姿勢(戦い)を象徴している可能性があります。
  • Marchbanks (マーチバンクス): スコットランドの姓で、「march」は国境地帯、「banks」は土手を意味します。これは、魔法教育の「基準を守る者」としての彼女の役割を示唆していると考えられます。