ポータブル・スワンプ

ポータブル・スワンプ (Portable Swamp) 自体がどのような物品であるかの直接的な記述はありません。しかし、その効果は極めて強力で、起動させると即座に本物そっくりの沼地を出現させることができます。 フレッドジョージホグワーツの5階廊下に設置した沼は、じめじめとした悪臭を放つ、ぬかるんだ本物の沼地であり、その規模は廊下全体を覆うほどでした。

この道具の主な目的は、特定の場所に即席の沼地を作り出すことです。それは単なる幻影などではなく、物理的な実体を伴う非常に強力な魔法がかけられています。

  • 耐久性: この沼を完全に消し去ることは非常に困難です。ドローレス・アンブリッジは除去に苦労し、撤去作業をアーガス・フィルチに任せましたが、彼はボートで沼を渡るしかありませんでした。
  • 高度な魔法: 呪文学の達人であるフィリウス・フリットウィック教授でさえ、全体を完全に除去することはしませんでした。彼はウィーズリー双子の驚異的な魔法技術への敬意の証として、意図的に沼の一部をロープで囲い、記念として残しました。これは、ポータブル・スワンプにかけられた魔法が非常に高度で巧妙であることを示しています。

ポータブル・スワンプは、フレッド・ウィーズリージョージ・ウィーズリーによって、彼らがホグワーツを退学する直前の1996年に開発・使用されました。 彼らはドローレス・アンブリッジが「ホグワーツ高等尋問官」として権力を振るっていた時期に、彼女への反逆の象徴として、また学校に壮大な混乱を巻き起こすためにこれを使用しました。5階の廊下に沼を設置した後、二人は自分たちのに乗って堂々と学校から飛び去り、ホグワーツの伝説となりました。 この事件の後、沼はしばらくの間残され、生徒たちの間で人気のアトラクションとなりました。ピーブズも双子の指示に従い、沼を通ろうとするアンブリッジを妨害しました。 ホグワーツ退学後、フレッドとジョージはダイアゴン横丁に開店した自分たちの店、ウィーズリー・ウィザード・ウィーズでこのポータブル・スワンプを商品として販売するようになりました。

ポータブル・スワンプは、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』において、アンブリッジの圧政に対する生徒たちの抵抗精神を象徴する重要な役割を担いました。それは単なる悪ふざけではなく、魔法省の不当な支配に対する大胆不敵な挑戦であり、ダンブルドア軍団の活動と並行してホグワーツ内の反乱ムードを盛り上げました。 また、この出来事はウィーズリー双子の魔法の才能が、単なるいたずらの域をはるかに超えた、独創的で強力なものであることを読者に証明する重要なエピソードでもあります。

  • 「スワンプ・メイホウ」(Swamp Mayhem) という名称は、原著には登場しません。原著での名称は Portable Swamp (ポータブル・スワンプ、携帯沼) です。「スワンプ・メイホウ」は、この出来事や商品を指す俗称、あるいは特定の翻訳や関連メディアで使用された名称である可能性があります。
  • 映画版『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では、このポータブル・スワンプのエピソードは完全に省略されています。ウィーズリー双子の退学シーンは、代わりに彼らの花火製品「ウィーズリー印のワイルドなファイア・ウィズバン」を使った壮大なショーとして描かれています。(映画設定)