ピーブズ

ピーブズ (Peeves) は、ホグワーツ魔法魔術学校 に棲みつくポルターガイストです。彼は実体を持つ混沌の化身であり、ゴーストとは異なります。その存在は、悪戯、騒乱、そして権威ある人物を苛立たせることに捧げられており、ホグワーツ城の歴史を通じて、生徒や教職員にとって絶え間ない悩みの種でした。しかし、彼は単なる迷惑な存在ではなく、学校が真の脅威に晒された際には、ホグワーツへの忠誠心を示し、防衛のために戦うという一面も持っています。

ピーブズの起源は定かではありませんが、彼は少なくとも993年のホグワーツ魔法魔術学校の創立以来、城に存在しているとされています (Pottermore)。彼は特定の人物の霊ではなく、若者たちのエネルギーと悪戯心が集まって生まれた、根源的な混沌の霊体です。 ハリー・ポッターの在学時代 ピーブズは、ハリー・ポッターホグワーツに入学した当初から、一貫して騒々しい存在でした。彼は頻繁に廊下を飛び回り、生徒に水風船を投げつけたり、鎧を倒したり、管理人であるアーガス・フィルチを執拗にからかったりしていました。 特筆すべきは、1992年に彼がほとんど首無しニックの指示で、管理人室の上にある姿をくらますキャビネット棚を破壊したことです。この行動は、数年後にドラコ・マルフォイ死喰い人を城に侵入させるために修理するまで、このキャビネット棚が使用不能になる原因となりました。 1995年から1996年にかけて、魔法省から派遣されたドローレス・アンブリッジが「上級尋問官」としてホグワーツの規律を掌握しようとした際、ピーブズの悪戯は抵抗活動の一環として新たな意味を持ちました。フレッド・ウィーズリージョージ・ウィーズリーが学校を去る際、彼らはピーブズに「俺たちの代わりに、あの女に地獄を見せてやれ」と頼みました。ピーブズはこの指示を敬礼をもって受け入れ、前代未聞の規模でアンブリッジに対する嫌がらせを展開しました。これには、ミネルバ・マクゴナガル教諭が間接的に彼を助ける場面も見られました。 1998年のホグワーツの戦いでは、ピーブズは学校を防衛するために立ち上がりました。彼はスナガガフの球根死喰い人に投げつけ、悪態をつきながら敵を混乱させ、ホグワーツへの忠誠を示しました。ヴォルデモート卿が敗北した後、彼は勝利の歌を歌い、戦いの終結を祝いました。

ピーブズは、派手なオレンジ色の蝶ネクタイとベル付きの帽子を身につけた、意地悪そうな顔つきの小男として描かれています。彼は常に宙を浮遊し、ゴーストのように壁を通り抜けることはできませんが、物理的な物体に干渉する能力を持っています。 彼の性格は一言で言えば「混沌」です。彼は秩序を嫌い、悪戯と騒ぎを心から楽しんでいます。彼のユーモアはしばしば悪意に満ちており、特にアーガス・フィルチのような権威的な人物を標的にします。しかし、彼には独自の行動規範があり、フレッド・ウィーズリージョージ・ウィーズリーのような優れた悪戯の才能を持つ者には敬意を払います。彼が心から恐れている唯一の存在は、スリザリン寮のゴーストである血みどろ男爵です。また、アルバス・ダンブルドアの命令には(不承不承ながら)従うこともありました。

ピーブズは魔法使いではないため、を使いません。彼の能力はポルターガイストとしての生来のものです。

  • 飛行: 彼は自由に城の中を飛び回ることができます。
  • 念動力: 彼は物理的な実体を持ち、物体を持ち上げたり、投げつけたり、破壊したりする強力な念動力を持っています。インク壺や杖、家具などを自在に操ります。
  • 不可視化: 彼は姿を消すことができます (Pottermore)。
  • 非実体化: 彼はゴーストではありませんが、ある程度の非実体性を持っており、攻撃を避けることができます。

ピーブズは特定の物品を所有していませんが、悪戯のために様々なものを利用します。

  • 水風船: 生徒の頭上に落とすためのお気に入り。
  • チョーク: 廊下の黒板に汚い言葉を書くために使用。
  • インク壺: 書類や生徒にぶちまけるために利用。
  • スナガガフの球根: ホグワーツの戦いで武器として使用した危険な植物。

「Peeves」という名前は、英語の動詞 “peeve”(苛立たせる、怒らせる)や名詞 “pet peeve”(気に障るもの)に由来します。これは、彼の存在そのものが他者を苛立たせることにあるという性格を完璧に表しています。

  • 映画シリーズでは、ピーブズのキャラクターは完全に省略されています。しかし、当初『ハリー・ポッターと賢者の石』では、イギリスのコメディアン、リック・メイヨールがピーブズ役で撮影に参加していましたが、最終的に彼の出演シーンはすべてカットされました。(映画製作の裏話)
  • J.K. ローリングはウェブサイト Pottermore で、ピーブズは個人の霊ではなく、城と共に「やってきた」存在であり、追い出すことも破壊することも不可能な、混沌の化身であると説明しています。(Pottermore)