ほとんど首無しニック
简介
サー・ニコラス・デ・ミムジー・ポーピントン卿 (Sir Nicholas de Mimsy-Porpington)、通称 ほとんど首無しニック は、ホグワーツ魔法魔術学校 に住むグリフィンドール寮の陽気な寮付き幽霊である。彼は1492年10月31日に不完全な斬首刑によって命を落とし、その結果、首がわずかな皮一枚で胴体と繋がっている。この「ほとんど首が無い」状態は彼の長年の悩みであり、首が完全に切断された幽霊たちの集団である「首無し狩り行列」への参加を拒否される原因となっている。ハリー・ポッターや他のグリフィンドールの生徒にとっては、親しみやすく、しばしば有益な情報をもたらしてくれる存在である。
生平
生前
サー・ニコラスは15世紀の魔法使いであり、ヘンリー7世の宮廷に仕えていたとされる。伝えられるところによれば、彼は宮廷の侍女の一人、レディ・グリーヴの曲がった歯を魔法で治そうとしたが、誤って彼女に牙を生やしてしまった。この失態により、彼は魔法使いであることが露見し、死刑を宣告された。
死とその後
1492年10月31日、サー・ニコラスの処刑が執行された。しかし、用いられた斧は切れ味が悪く、執行人は45回も斧を振り下ろしたにもかかわらず、彼の首を完全に切断することができなかった。その結果、彼の首はわずか半インチほどの皮膚と腱で繋がったままとなり、彼は「ほとんど首無し」という不名誉な状態で死を迎えた。 死を恐れた彼は、向こうの世界へ「進む」ことを選ばず、幽霊としてこの世に留まることを決意した。その後、彼は母校であるホグワーツ魔法魔術学校に戻り、グリフィンドール寮の幽霊となった。
物語における役割
- 『ハリー・ポッターと賢者の石』: 新入生を歓迎する幽霊の一人として登場し、自身の斬首刑がうまくいかなかったことを嘆いてみせた。
- 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』: 彼の500回目の「死んだ日パーティー」が重要な場面として描かれる。ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーがこのパーティーに出席した際、ハリーは初めてバジリスクの声を聞く。その後、ニック自身もバジリスクに睨まれて石化(正確には「幽霊として完全に固まった状態」)させられるが、マンドレイクの回復薬によって元に戻った。
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』: シリウス・ブラックの死後、悲しみに暮れるハリーに対し、なぜシリウスが幽霊として戻ってこないのかを説明した。彼は、死を恐れる臆病な者だけが幽霊になることを選び、シリウスのような勇敢な魔法使いは迷わず「向こうへ進む」のだと語り、ハリーに死の概念について重要な示唆を与えた。
外貌と性格
外貌
ほとんど首無しニックは、真珠色で半透明の幽霊である。彼は常に襞襟 (ラフ) のついた豪華な衣装と、羽飾りのついた帽子を身につけている。彼の最も特徴的な点は、左側にだらりと垂れ下がった首であり、いつでも自らの首を胴体から引き離して見せることができる。
性格
彼は基本的に陽気で気さくだが、同時に見栄っ張りで少々芝居がかった一面も持つ。自身の「ほとんど首無し」という状態に強いコンプレックスを抱いており、そのことを指摘されたり、首無し狩り行列への参加を拒否されたりするとひどく落ち込む。グリフィンドールの生徒に対しては非常に友好的で、助けになることを誇りに思っている。
魔法能力と技巧
幽霊として、彼は以下のような能力を持つ。
- 物質透過: 壁や人間などの固体を通り抜けることができる。
- 冷気: 彼が通り抜けた場所や人間は、氷のように冷たくなる。
- 浮遊: 空中を自由に浮遊し、移動することができる。
彼は幽霊であるため、物理的な影響を受けないが、バジリスクの凝視のような極めて強力な闇の魔術は彼を石化させることが可能である。しかし、二度死ぬことはないため、命を落とすことはない。
人際関係
名前詞源
- Nicholas: ギリシャ語の「Nikolaos」に由来する一般的な英語名で、「民衆の勝利」を意味する。
- de Mimsy-Porpington: 「Mimsy」はルイス・キャロルの詩『ジャバウォックの詩』に出てくる造語で、「弱々しく惨めな」といった意味合いを持つ。これは彼の幽霊としての状態や、首に関するコンプレックスを反映している可能性がある。「Porpington」は、英国の貴族階級を思わせる古風で格式張った響きを持つ姓である。
- ほとんど首無しニック (Nearly Headless Nick): 彼の身体的特徴をそのまま表した、非常に分かりやすいニックネームである。
幕後情報
- 映画版では、俳優のジョン・クリーズが演じた。『ハリー・ポッターと秘密の部屋』の映画では、彼の死因となったレディ・グリーヴとのエピソードを描いた未公開シーンが存在する。(映画版設定)
- 原作者のJ.K.ローリングは、ニックが自らの死について歌う「ほとんど首無しニックのバラード」という歌を執筆したが、最終的に書籍からはカットされた。この歌の全文は後に公式サイトなどで公開されている。(Pottermore)