トビアス・スネイプ

トビアス・スネイプはマグルであり、魔女アイリーン・プリンスの夫、そしてセブルス・スネイプの父親です。彼の存在は主にセブルスの記憶を通して断片的に語られるのみですが、スネイプの不幸な幼少期と、彼が自身のマグルとしての出自を軽蔑する原因を説明する上で重要な背景的人物となっています。

トビアス・スネイプの人生について詳しく知られていることは非常に少ないです。彼はイギリスの工業都市であるスピナーズ・エンドに住んでいました。そこで純血の魔女であるアイリーン・プリンスと出会い結婚し、息子のセブルス・スネイプをもうけました。 しかし、二人の結婚生活は幸福なものではなかったことが強く示唆されています。ハリー・ポッター憂いの篩で見たセブルスの記憶の中で、トビアスは妻アイリーンに対して怒鳴りつけており、家庭内には絶え間ない緊張と不和があったことがうかがえます。この劣悪な家庭環境は、息子セブルスの人格形成に深刻な影響を与えました。 トビアスの生年月日や死没年、死因など、彼の人生に関する具体的な詳細については原作では一切言及されていません。

「脂ぎった髪の男が、隅で縮こまっている青白い顔の女に向かって怒鳴っていた。すると小さな黒髪の男の子が、すすり泣きながら部屋の隅にうずくまっていた…」 ――ハリー・ポッターが憂いの篩で見たセブルス・スネイプの記憶

  • 外見: セブルス・スネイプの記憶の中で、トビアスは「鉤鼻」で「脂ぎった髪」の持ち主として描写されています。これらの身体的特徴は、息子のセブルスに色濃く受け継がれました。
  • 性格: 彼は短気で怒りっぽく、家族に対して威圧的であったことが示唆されています。スネイプの記憶からは、彼が魔法に対して嫌悪感や不信感を抱いており、それが魔女である妻との対立の一因であったことが推測されます。家庭を顧みない、あるいは虐待的な父親であったと考えられ、息子セブルスからは深く憎まれていました。

トビアス・スネイプはマグルであるため、魔法の能力は一切持ち合わせていません。

原作において、彼が所有していた特筆すべき重要な物品は言及されていません。

  • アイリーン・プリンス (妻): 彼女は純血の旧家であるプリンス家の魔女でしたが、マグルであるトビアスと結婚しました。彼らの関係は冷え切っており、口論が絶えなかったことが記憶から明らかになっています。
  • セブルス・スネイプ (息子): セブルスは父親の姓を受け継いだものの、彼とそのマグルとしての出自を強く嫌悪していました。彼はホグワーツ魔法魔術学校在学中、母親の旧姓を使い「半純血のプリンス」と自称することで、父親の存在を否定しようと試みました。トビアスとの不幸な親子関係は、セブルスの人間不信な性格や、後にリリー・エバンズとの友情に亀裂が入る遠因となりました。
  • トビアス (Tobias): ヘブライ語の「トビヤ (Toviyahu)」に由来し、「ヤハウェは善である」または「神の慈悲」を意味します。彼の作中での不快な性格とは対照的であり、皮肉な命名と言えます。
  • スネイプ (Snape): イギリスのサフォーク州に実在する村の名前に由来します。(作者インタビューより)
  • J.K.ローリングは、セブルス・スネイプの複雑な人格を形成する上で、彼の両親の不幸な結婚が重要な要素であったと語っています。トビアスというキャラクターは、スネイプのマグルに対する矛盾した感情(嫌悪と、マグル生まれのリリー・エバンズへの愛)を説明するために設定されました。