トライウィザード杯

トライウィザード杯は、三大魔法学校対抗試合の優勝者に与えられる、きらびやかで大きな杯です。持ち手が二つあり、まばゆい光を放つと描写されています。1994年から1995年にかけて開催された大会では、第三の課題のゴール地点である迷宮の中央に置かれました。

トライウィザード杯の主な機能は、三大魔法学校対抗試合という過酷な競技を勝ち抜いた、ただ一人の優れた魔法使いまたは魔女を称えるための優勝トロフィーであることです。優勝者には、この杯と共に1,000ガリオンの賞金が贈られます。 しかし、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の物語においては、杯はバーティ・クラウチ・ジュニアによって密かに双方向のポートキーに作り変えられました。これにより、杯に最初に触れた者をリトル・ハングルトンの墓場へ転送し、ヴォルデモート卿の復活の儀式に利用するという計略が仕組まれていました。

トライウィザード杯の歴史は、それが賞品である三大魔法学校対抗試合の歴史と密接に結びついています。

  • 大会の創設: 対抗試合は約700年前に、ヨーロッパの三大魔法学校であるホグワーツ魔法魔術学校ボーバトン魔法アカデミー、そしてダームストラング専門学校の間の親善を深める目的で創設されました。
  • 大会の中断: しかし、競技の危険性が極めて高く、死者が続出したため、数世紀にわたって中断されていました。特に1792年の大会では、解き放たれたコカトリスが暴走し、三校の校長全員が負傷する事態となりました。
  • 1994年の復活: 魔法省国際魔法協力部魔法競技部の尽力により、安全策を講じた上で1994年に対抗試合が復活しました。この大会で使われたのが、本項で記述するトライウィザード杯です。

トライウィザード杯は、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の物語の中心的な役割を担う重要な物品です。 死喰い人であるバーティ・クラウチ・ジュニアは、アラスター・ムーディになりすまし、炎のゴブレットに強力な錯乱の呪文をかけてハリー・ポッターを四人目の代表選手として選出させました。彼の目的は、ハリーをトーナメントで優勝させ、最終的にトライウィザード杯に触れさせることでした。 第三の課題の終盤、ハリーとセドリック・ディゴリーは協力して迷宮の中心にたどり着き、同時に杯に触れることに同意します。その瞬間、ポートキーが作動し、二人はトム・リドル・シニアの墓地へと転送されました。そこでセドリックはピーター・ペティグリューによって殺害され、ハリーの血がヴォルデモート卿の肉体を復活させるために使われました。ハリーは決闘の末、ポートキーである杯に再び触れることで辛くもホグワーツへ帰還し、ヴォルデモートの復活をアルバス・ダンブルドアに報告しました。 このように、トライウィザード杯は単なる栄誉の象徴ではなく、第二次魔法戦争の幕開けを告げる、極めて重要な転換点となったのです。

  • 映画版では、トライウィザード杯は青白く、非常に複雑な彫刻が施されたデザインで描かれており、触れると内部の機構が動いてポートキーとして作動する様子が視覚的に表現されています。(映画設定)