バーティ・ボッツの百味ビーン

バーティ・ボッツの百味ビーンは、見た目はごく普通のマグルのジェリービーンズと区別がつかない魔法の菓子です。様々な色や模様のビーンが混ざっており、食べるまでその味を特定することは不可能です。通常は袋や箱に入れられて販売されています。 その最大の特徴は、「百味」という名の通り、文字通り考えうる限りのあらゆる味が存在することです。美味しい味から、常識では考えられないような不快な味まで、その種類は無限に近いとされています。

この菓子の魔法的な特性は、その味の多様性とランダム性にあります。これは単なる菓子であると同時に、一種のゲームや娯楽としても楽しまれています。特にホグワーツの生徒たちの間では、勇気試しや悪ふざけとして人気があります。 作中で言及された、あるいは登場人物が食べた味には以下のようなものがあります。

  • 美味しい味の例:
    • チョコレート
    • ペパーミント
    • マーマレード
    • イチゴ
    • ココナッツ
    • コーヒー
  • 不味い、または奇妙な味の例:
    • ほうれん草
    • 芽キャベツ
    • 肝臓
    • 臓物
    • 胡椒
    • イワシ
    • ゲロ
    • 耳あか
    • 鼻くそ

アルバス・ダンブルドアは若い頃にゲロ味を食べて以来、このビーンが苦手になったと語っていますが、『ハリー・ポッターと賢者の石』の終盤でハリーの見舞いに来た際、偶然にも耳あか味を引き当ててしまいました。

バーティ・ボッツの百味ビーンは、20世紀半ばに魔法使いのバーティ・ボットによって偶然発明されました。彼は食品の味を再現した美味しい菓子を作ろうと実験していましたが、誤って汚れた靴下一足を調合に加えてしまいました。しかし、彼はこれを失敗作と見なす代わりに、「一口ごとに危険が伴う!」というキャッチフレーズと共に商品化し、大成功を収めました。(Pottermore) この発明の物語は、蛙チョコレートに付属する「有名魔女・魔法使いカード」にも記載されています。(ゲーム設定)

  • 魔法界への導入:ハリー・ポッターと賢者の石』において、ホグワーツ特急の車内でハリー・ポッターが初めて購入する魔法界の菓子のひとつです。ハリーがロン・ウィーズリーとこれを分け合う場面は、二人の友情が始まる重要なきっかけとなりました。また、この菓子を通して、読者は魔法界の奇妙でユーモラスな側面を初めて垣間見ることになります。
  • キャラクターの描写: アルバス・ダンブルドアがこのビーンを食べる場面は、彼の人間味あふれる一面や、偉大な魔法使いでさえも不運に見舞われることがあるという事実を象徴的に示しています。
  • 世界の深み: 物語全体を通じて、百味ビーンは魔法界の日常に根付いた文化的なアイテムとして繰り返し登場し、世界観に深みと現実味を与えています。
  • J.K. ローリングは、ジェリービーンズという菓子が持つ、味を外見から判断できないという特性に魅了され、そこに魔法的な捻りを加えて百味ビーンのアイデアを思いついたと語っています。
  • この菓子は非常に人気が高く、現実世界でも公式商品として米国の菓子メーカー「ジェリーベリー社」から製造・販売されており、作中に登場する奇妙な味も再現されています。