ベリタセルム (Veritaserum)
基本情報
記述と外見
ベリタセルムは、完全に無色透明で、水と見分けがつかない液体です。香りもないため、飲み物に混ぜられても気づくことは極めて困難です。セブルス・スネイプ によれば、わずか三滴で服用者を完全に真実のみを語らせる状態にすることができます。
魔法の特性と用途
ベリタセルムは、現在知られている中で最も強力な吐真薬です。これを飲んだ者は、あらゆる質問に対して、自分が真実だと信じていることを全て正直に話さざるを得なくなります。 その強力な効果のため、魔法省 によって厳しく使用が管理されており、尋問などで使用される際には厳格な規則が伴います。しかし、ベリタセルムは万能ではなく、いくつかの弱点や対抗策が存在します。
- 熟練した 閉心術 使いは、その効果に抵抗することができます。
- 解毒剤が存在します。
- 相手が魔法薬の知識に長けていれば、その存在を見破られる可能性があります。
- 調合には1ヶ月の熟成期間が必要です。
物語における役割
- ハリー・ポッターと炎のゴブレット: セブルス・スネイプ は、自身の薬品棚から ポリジュース薬 の材料を盗んだ犯人を見つけるため、ハリー・ポッター にベリタセルムを使うと脅迫しました。物語の終盤では、アルバス・ダンブルドア が捕らえられた バーテミウス・クラウチ・ジュニア にこの薬を使い、彼が アラスター・ムーディ に成りすましてヴォルデモート卿の復活を助けたという驚愕の真実を聞き出しました。
- ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団: ドローレス・アンブリッジ は、ダンブルドア軍団 の活動や シリウス・ブラック の居場所についてハリーから情報を引き出すため、ベリタセルムを使おうとしました。しかし、スネイプはアンブリッジへの協力を拒否し、在庫がないと偽りました。アンブリッジは偽のベリタセルムをハリーのお茶に混ぜましたが、ハリーは飲んだふりをして難を逃れました。
- ハリー・ポッターと謎のプリンス: ハリーは ホークラックス に関する重要な記憶を取り戻すため、ホラス・スラグホーン にベリタセルムを使うことを考えました。しかし、相手が熟練した魔法薬学教授であるためすぐに見破られると判断し、代わりに幸運の液体 フェリックス・フェリシス を使用しました。
- ハリー・ポッターと死の秘宝: リータ・スキーター は、著書『アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘』の中で、バチルダ・バグショット から情報を聞き出すためにベリタセルムを使用したと主張しましたが、その信憑性は非常に低いと考えられています。
名前の語源
「ベリタセルム (Veritaserum)」という名前は、ラテン語に由来します。
- Veritas: ラテン語で「真実」を意味します。
- Serum: ラテン語で「水っぽい液体」を意味し、英語では薬や血清を指す言葉として使われます。
これらを組み合わせると、「真実の血清」または「真実の液体」という意味になります。
幕後情報
J.K. ローリングは、なぜベリタセルムが魔法界の司法制度で常用されないのかについて、その弱点を説明しています。閉心術による抵抗や解毒剤の存在、さらには魔法で相手の記憶を改竄したり、薬を偽物にすり替えたりすることが可能なため、法廷で絶対的な証拠とはなり得ないからです。(Pottermore)