オランプ・マクシーム

オランプ・マクシームは、フランスの魔法学校である ボーバトン魔法アカデミー の校長であり、半巨人 の血を引く魔女です。『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』で初めて登場し、三大魔法学校対抗試合 の審判員の一人を務めました。彼女はアルバス・ダンブルドアの信頼する同盟者であり、不死鳥の騎士団 のためにルビウス・ハグリッドと共に危険な任務にも赴きました。その堂々とした風格と強力な魔法能力で知られています。

1994年、マクシーム夫人は三大魔法学校対抗試合のためにボーバトンの代表団を率いてホグワーツ魔法魔術学校を訪れました。彼女たちの移動手段は、12頭の巨大な翼を持つアブラクサンに引かれた、宮殿のような水色の馬車でした。 大会期間中、彼女は審判員を務めると同時に、ホグワーツの森番であるルビウス・ハグリッドと親密な関係を築きました。二人はクリスマス・ダンスパーティで共に踊りましたが、ハグリッドが彼女も自分と同じ半巨人ではないかと尋ねたことで、彼女は激しくそれを否定し(「骨格が大きいのよ!」と主張)、一時的に関係が冷え込みました。しかし、最終的には和解し、大会終了まで良好な関係を保ちました。

第二次魔法戦争の勃発が迫る1995年の夏、マクシーム夫人はダンブルドアの依頼を受け、ハグリッドと共に不死鳥の騎士団の使節として北方の山岳地帯に住む巨人たちのもとへ向かいました。その目的は、ヴォルデモート卿巨人を味方につける前に、騎士団側との同盟を結ぶことでした。 この任務は困難を極め、死喰い人による妨害や巨人社会の内部抗争に直面しました。マクシーム夫人はこの任務において、優れた魔法の腕前と冷静な判断力を示し、特に結膜炎呪いを巧みに使って危機を脱したとハグリッドは語っています。完全な同盟には至らなかったものの、彼らの努力は巨人たちが完全にヴォルデモート卿側に付くのを遅らせる一助となりました。

マクシーム夫人は、1997年に行われたアルバス・ダンブルドアの葬儀に参列し、深い敬意を表しました。また、1997年の夏には、かつての教え子であるフラー・デラクールビル・ウィーズリーの結婚式にも出席しています。

ハグリッドと同じくらいの身長を持つ、非常に背の高い女性として描かれています。優雅で美しい顔立ち、オリーブ色の肌、そして大きな黒い瞳を持っています。服装は常にエレガントで、黒いサテンのドレスを好んで着用していました。

マクシーム夫人は非常に堂々としており、威厳のある人物です。校長としての責任感が強く、自校の生徒、特にフラー・デラクールを強く擁護する一面を見せます。自身の半巨人の血統については非常に敏感で、そのことを他人に指摘されるのを極度に嫌うプライドの高さを持っています。しかし、その一方で、ダンブルドアへの忠誠心は厚く、危険な任務を引き受ける勇敢さと、ハグリッドに示すような情の深さも兼ね備えています。

ボーバトン魔法アカデミーの校長を務めるだけあり、マクシーム夫人は極めて強力で熟練した魔女です。

  • 決闘と呪い: ハグリッドの証言によれば、彼女は結膜炎呪いの名手であり、複数の巨人を相手にしても効果的に戦うことができました。
  • 統率力: ヨーロッパの主要な魔法学校の一つを率いる高いリーダーシップと管理能力を持っています。
  • 魔杖: 原作において、彼女の魔杖の芯や材質に関する具体的な記述はありません。
  • ボーバトンの馬車: 彼女と生徒たちがホグワーツへの移動に使用した、家ほどもある巨大な水色の馬車。12頭の翼を持つアブラクサンによって引かれ、空を飛行することができます。
  • オランプ (Olympe): ギリシャ神話の神々が住む「オリンポス山 (Mount Olympus)」を連想させるフランス語の名前です。これは彼女の神々しいほどの身長と威厳を表していると考えられます。
  • マクシーム (Maxime): ラテン語の「Maximus(最大、最も偉大な)」に由来します。これもまた彼女の身体的な大きさと地位を明確に示唆しています。
  • 映画: 映画版『ハリー・ポッター』シリーズでは、女優のフランシス・デ・ラ・トゥーア (Frances de la Tour) がオランプ・マクシームを演じました。(映画設定)
  • 血統の否定: 彼女が自身の半巨人の血を頑なに否定するのは、魔法社会における巨人への根強い偏見が原因であると推測されます。多くの巨人ヴォルデモート卿に与した歴史もあり、彼女のような高い地位にある人物にとって、その出自は大きな社会的リスクとなり得ました。