逆転時計_タイムターナー

逆転時計 (タイムターナー)

逆転時計は、長く繊細な金の鎖につけられた、極めて小さな砂時計のような形状をしている。ハーマイオニー・グレンジャーが使用していたものは、ペンダントとして首から下げることができる大きさだった。ガラス部分には輝く砂が入っており、使用時にはこれが流れる。

逆転時計は、使用者を短時間だけ過去へと送り返す強力な魔法道具である。その使用には厳格な規則と多大な危険が伴う。

  • 使用方法: 逆転時計を一度ひっくり返す(一回転させる)ごとに、使用者は一時間、過去へ遡ることができる。ハーマイオニー・グレンジャーは、3年生の時に多くの選択科目を同時に履修するため、ミネルバ・マクゴナガル教授の特別な許可を得てこれを使用していた。
  • 制限と危険性: 時間旅行は魔法界で最も危険な分野の一つとされている。アルバス・ダンブルドアが警告したように、時間旅行者は過去の自分自身に決して姿を見られてはならない。過去の自分に目撃されると、正気を失ったり、最悪の場合、過去または未来の自分が死に至るという破滅的な結果を招く可能性がある。この原則は「時間に関する魔法の第一法則」として知られている。また、歴史上の出来事を安易に変更しようとすることも極めて危険である。

逆転時計はすべて魔法省によって厳しく管理されており、その在庫は神秘部内にある「時の間」に保管されていた。これらの道具は、極めて慎重な調査と正当な理由がなければ、個人の使用が許可されることはない。 1996年、不死鳥の騎士団のメンバーと死喰い人との間で繰り広げられた神秘部の戦いの最中、魔法省が保有していた逆転時計の全在庫が破壊された。戦闘中、逆転時計が収められていた棚が呪文を受けて倒れ、中の逆転時計はすべて床に落ちて砕けた。さらに、魔法の暴走により、それらは「落ちては砕け、元に戻ってはまた落ちる」という無限ループに陥ってしまい、使用不能となった。この事件以降、魔法省は機能する逆転時計を一つも所有していないことが示唆されている。

逆転時計は、特に『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の物語において決定的な役割を果たした。 学業のためにハーマイオニー・グレンジャーが一年間使用した後、物語のクライマックスで、ハリー・ポッターとハーマイオニーはアルバス・ダンブルドアの助言に従い、逆転時計を使って三時間過去へ戻った。この時間旅行によって、彼らは二つの重要な目的を達成した。

この道具が『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で破壊されたことは、物語全体にとって重要な意味を持つ。これにより、以降の物語で登場人物たちが過去に戻って悲劇(例えばセドリック・ディゴリーシリウス・ブラックの死)をやり直すといった安易な解決策が封じられ、物語の緊張感を高める効果があった。

  • J.K. ローリングは、逆転時計という便利な道具を物語から排除する必要性を感じていたと語っている。もしこの道具が存在し続ければ、「なぜヴォルデモートが権力を握る前に時間を遡って止めないのか」といった疑問が常に生じ、物語の制約がなくなってしまうためである。(作者の発言)
  • 舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』では、異なる原理で動作し、より長時間の時間旅行が可能な新型の逆転時計が登場するが、これは原作小説七冊の物語の範囲外の設定である。(舞台劇の設定)