リッパー (Ripper)

リッパー (Ripper) は、バーノン・ダーズリーの姉であるマージョリー・ダーズリーが飼っている、年老いて気性の荒いブルドッグです。彼は『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』に登場し、飼い主であるマージョリーに深く溺愛されています。物語においては、彼の存在と行動が間接的にハリー・ポッターのダーズリー家からの脱出のきっかけを作る、重要な役割を果たしました。

リッパーに関する記述は、1993年の夏に彼が飼い主のマージョリー・ダーズリーと共にプリベット通り四番地のダーズリー家を訪れた際に集中しています。 マージョリーはリッパーを非常に甘やかしており、自分の紅茶の受け皿からブランデーを飲ませるほどでした。滞在中、リッパーはほとんどの時間をマージョリーの膝の上で眠って過ごしていましたが、ハリー・ポッターに対しては飼い主の嫌悪感を察してか、常に唸り声をあげて敵意を示していました。 物語のクライマックスで、ハリーがマージョリーの侮辱的な言葉に怒り、意図せずして彼女の体を風船のように膨らませてしまうという暴発的な魔法を使ってしまいます。この混乱の最中、リッパーは狂ったように吠え始め、バーノン・ダーズリーの足に噛みつきました。この騒ぎが決定的な隙を作り、ハリーは自分のトランクヘドウィグの入った籠を持ってダーズリー家から逃げ出すことに成功しました。

  • 外見: リッパーは「どう猛そう」「図体の大きなブルドッグ」と描写されています。年老いているにもかかわらず、威圧的な外見をしています。
  • 性格: 彼の性格は飼い主であるマージョリーの性格を色濃く反映しています。非常に気性が荒く、不機嫌で、特にハリー・ポッターに対しては攻撃的です。しかし、マージョリーに対しては絶対的な忠誠心を見せ、彼女が危険(と彼が認識した状況)に陥った際には、混乱の中でも彼女を守ろうと行動しました。

リッパーはマグルが飼育するごく普通の動物であり、魔法的な能力は一切持っていません。

特筆すべき所有物はありません。

  • マージョリー・ダーズリー: 飼い主。マージョリーはリッパーを「リッパーちゃん (Ripper-poo)」と呼び、人間の子どものように溺愛しています。リッパーも彼女に非常によく懐いており、強い絆で結ばれています。
  • ハリー・ポッター: 敵対関係。リッパーはハリーの存在を快く思っておらず、彼が近づくと威嚇します。これは、飼い主であるマージョリーがハリーを公然と嫌っていることに影響されたものと考えられます。
  • バーノン・ダーズリー: マージョリーが膨張したパニックの際に、リッパーはバーノンの足に噛みついています。これは意図的な攻撃というよりは、混乱の中での偶発的な行動でした。

「Ripper」は英語で「引き裂く者」を意味します。これは彼のどう猛な性質や、いざとなれば相手に噛みつく攻撃的な性格を的確に表しており、番犬や気性の荒い犬に付けられる典型的な名前の一つです。

  • 映画版『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』でもリッパーは原作に忠実に登場し、マージョリーが膨らんだ際に吠え立てるシーンが描かれています。
  • リッパーの行動は、ハリーがダーズリー家での生活に限界を感じ、魔法界へ本格的に足を踏み出すきっかけとなった重要な出来事の一部です。彼の起こした混乱がなければ、ハリーは冷静に家出の準備を整える時間がなく、その後の夜の騎士バスとの遭遇もなかったかもしれません。