トランク

トランクは、魔法使いや魔女、特にホグワーツ魔法魔術学校の生徒が学用品や私物を運ぶために使用する、最も基本的な魔法道具の一つである。通常は木製で、真鍮などの金属製の留め金がついている。持ち主の名前が記されていることも多い。 ほとんどのトランクは外見上、マグルの古い旅行カバンと大差ないが、多くは魔法によって強化されている。

  • 特殊なトランク
    1. アラスター・ムーディのトランク: 7つの鍵穴がある非常に特殊なトランク。それぞれの鍵穴が異なる区画に対応しており、中には呪文の書物、かくれん防止器などの闇の検知器、そして最も深い7番目の区画には深さ10フィートの地下室のような空間が広がっている。バーテミウス・クラウチ・ジュニアは、本物のアラスター・ムーディをこの7番目の区画に一年近く監禁していた。
    2. ニュート・スキャマンダーのトランク: 内部に検知不可能拡大呪文が強力にかけられており、広大な空間が広がっている。この空間は様々な魔法動物たちのための保護区となっており、それぞれの生息環境が再現されている。また、マグルの税関職員などの目を欺くための「マグル用」設定に切り替える機能も備わっている。(『ファンタスティック・ビースト』シリーズ設定)

トランクの主な用途は物品の収納と運搬だが、その機能は魔法によって大幅に拡張される。

  • 空間拡張: 検知不可能拡大呪文 (Undetectable Extension Charm) を使用することで、トランクの内部を外見よりもはるかに広くすることができる。これにより、大量の書籍、大鍋、衣類などを収納することが可能になる。
  • 軽量化: 魔法によってトランク自体や中身の重量を軽くし、持ち運びを容易にすることができる。
  • セキュリティ: 開かない呪文 (Colloportus) や、より複雑な呪文で施錠することができる。ムーディのトランクのように、特定の鍵がなければ絶対に開かないようにすることも可能である。
  • 隠蔽: ダーズリー家にいた頃のハリー・ポッターがそうであったように、魔法界の品々をマグルから隠しておくための保管場所としても機能する。

トランクは物語全体を通じて、単なる道具以上の重要な役割を担っている。

  • 映画版では、アラスター・ムーディのトランクの内部構造が視覚的に詳細に描かれ、その複雑さと不気味さが強調されている。
  • 『ファンタスティック・ビースト』シリーズでは、ニュート・スキャマンダーのトランクが物語の中心的な役割を果たしており、単なる収納道具ではなく、魔法動物学者のフィールドワークの拠点であり、保護施設でもあるというユニークな設定が与えられている。(映画設定)