ボガート
基本情報
説明と習性
ボガートは、見る者が最も恐れているものの姿に瞬時に変化する、特殊なまね妖怪です。その性質上、ボガートが本来どのような姿をしているのかは誰にも知られていません。人がいない状態のボガートは、単なる不定形のかたまりであると推測されています。 ボガートは暗く、閉ざされた空間を好み、屋内の様々な場所に潜んでいます。例えば、衣装戸棚の中、ベッドの下、古い振り子時計の中、あるいは机の引き出しの中などです。これらは厳密には生物ではなく「非存在 (Non-Being)」に分類され、人間が抱く恐怖心を糧として生きる存在です。 複数の人間が同時にボガートと対峙した場合、ボガートは誰の恐怖を優先して姿を変えるべきか混乱し、複数の恐怖が混じった奇妙な姿になることがあります。この性質は、ボガートを無力化する上で有効に働きます。
物語における役割
ボガートは物語の中で、登場人物たちの内面的な恐怖を具体的に描き出す重要な役割を担っています。
-
- ネビル・ロングボトムのボガートはセブルス・スネイプ教授であり、呪文によって祖母の服を着た滑稽な姿に変わりました。
- ハーマイオニー・グレンジャーのボガートは、全ての試験に落第したと告げるミネルバ・マクゴナガル教授でした。
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』: 三校対抗試合の第三の課題で、迷路の中の障害物として登場しました。ハリー・ポッターの前に吸魂鬼の姿で現れましたが、ハリーはそれがボガートであると見抜き、リディクラスで撃退しました。
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』: グリモールド・プレイス十二番地の客間に潜んでいたボガートをモリー・ウィーズリーが退治しようとしました。しかし、ボガートは彼女の最大の恐怖である、夫や子供たち、そしてハリーの死体の姿に次々と変化し、彼女を精神的に追い詰めました。
対抗策
ボガートに対する最も効果的な防御策は、リディクラス (滑稽になれ) の呪文です。この呪文を成功させるには、術者はボガートが変身した恐怖の対象を、何か滑稽で面白い姿に変えることを心の中で強く想像する必要があります。 ボガートを打ち負かす最大の武器は「笑い」です。恐怖を笑いものにすることで、ボガートは力を失い、混乱して撃退されます。一人で対峙するよりも、仲間と一緒にいる方が対処しやすいとされています。
名前の語源
「ボガート (Boggart)」という名前は、イギリスの民間伝承に登場する、家に憑りついたり、沼地や野原に出没したりするいたずら好き、あるいは邪悪な妖精やゴブリンの一種に由来します。伝承上のボガートは多様な性質を持ちますが、人々に厄介ごとや恐怖をもたらす存在として共通しています。