ダンブルドア軍
概要
ダンブルドア軍 (Dumbledore's Army、略称: D.A.) は、第二次魔法戦争中、ホグワーツ魔法魔術学校内で結成された学生による秘密防衛術学習組織である。その主な目的は、魔法省から派遣された教授ドローレス・アンブリッジによる、実用性を無視した闇の魔術に対する防衛術の教育に対抗し、来るべきヴォルデモート卿との戦いに備えて実践的な魔法を習得することであった。ハリー・ポッターが指導者を務め、ホグワーツの戦いにおいて重要な役割を果たした。
歴史
結成
1995年、ドローレス・アンブリッジが「防衛術」教授としてホグワーツに着任し、理論のみで実践を一切教えない授業方針を強制したことに危機感を抱いたハーマイオニー・グレンジャーが発起人となり、ハリー・ポッターに防衛術を教えるよう依頼したことが結成のきっかけである。ホッグズ・ヘッドでの初会合の後、28名の生徒が署名し、正式に発足した。組織名は、魔法省が恐れていた「アルバス・ダンブルドアが私設軍隊を組織している」という噂を逆手に取った、ジニー・ウィーズリーの提案によるものである。
活動と発覚
ダンブルドア軍は、あらゆる要求に応えてくれる必要の部屋を秘密の活動場所とした。ハリー・ポッターの指導のもと、メンバーは武装解除呪文 (エクスペリアームス)、失神呪文 (ステューピファイ)、盾の呪文 (プロテゴ)、そして守護霊の呪文 (パトローナス・チャーム) といった高度な防衛術を学んだ。しかし、メンバーの一人であったマリエッタ・エッジコムの裏切りにより、アンブリッジに組織の存在が露見する。アルバス・ダンブルドアはハリーを守るために自らが組織の主宰者であると主張し、ホグワーツから一時的に姿を消すこととなり、組織は解散を余儀なくされた。
再結成とホグワーツの戦い
1997年、ヴォルデモート卿の支配下となったホグワーツにおいて、ネビル・ロングボトム、ジニー・ウィーズリー、そしてルーナ・ラブグッドが中心となり、ダンブルドア軍は抵抗組織として再結成された。彼らはアレクト・カローとアミカス・カローによる恐怖政治に抵抗し、メンバー間の連絡にはかつてハーマイオニーが作った魔法の金貨が再び使用された。1998年のホグワーツの戦いでは、この金貨を通じてかつてのメンバーが召集され、学校を防衛する上で中心的な戦力となった。
目的と原則
ダンブルドア軍の第一の目的は、差し迫る脅威に対して自己防衛できるだけの実践的な魔法能力を身につけることであった。また、アンブリッジやヴォルデモートに代表される圧政への抵抗という強い意志を共有しており、メンバーは忠誠心と勇気を重んじた。ハーマイオニー・グレンジャーが作成した署名リストには、裏切り者を罰する強力な呪いがかけられており、組織の結束を固める役割も果たしていた。
訓練内容
ハリーは自身の経験に基づき、実践的な呪文を中心に指導した。
関連アイテム
- 魔法をかけられた金貨 (Enchanted Galleons): ハーマイオニー・グレンジャーが偽のガリオン金貨にプロテゴの呪文を応用して作った通信道具。ハリーが次の会合の日時を決めると、金貨の縁の数字が変化してメンバーに知らせる仕組みになっていた。
- 署名された羊皮紙 (The D.A. Parchment): 最初の会合でメンバーが署名したリスト。ハーマイオニーによって強力な呪いがかけられており、裏切り者の顔に「密告者 (SNEAK)」という紫色の膿の吹き出物を浮かび上がらせる。
主要メンバーと敵対者
指導者・創設者
- ハリー・ポッター (指導者)
- ハーマイオニー・グレンジャー (発起人)
- ロン・ウィーズリー (共同創設者)
主なメンバー
- ネビル・ロングボトム (再結成時のリーダー)
- ジニー・ウィーズリー (再結成時のリーダー)
- ルーナ・ラブグッド (再結成時のリーダー)
敵対者
- 魔法省 (コーネリウス・ファッジ政権下)
名前の由来
組織名は、コーネリウス・ファッジ率いる魔法省が「ダンブルドアが省を転覆させるために学生の軍隊を組織している」という妄想的な恐怖を抱いていたことを皮肉ったものである。この名前を提案したのはジニー・ウィーズリーであり、省への反抗心とダンブルドアへの忠誠心の両方を示す、機知に富んだ名称としてメンバーに受け入れられた。
舞台裏情報
- 映画版『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では、ダンブルドア軍の存在が発覚する経緯が原作と異なる。原作ではマリエッタ・エッジコムが自らの意志で裏切るが、映画ではチョウ・チャンがベリタセルム (真実薬) を使われ、やむを得ず白状する形に変更されている。(映画版設定)