リトル・ハングル村
基本情報
- タイプ (Type): 麻瓜の村
- 場所 (Location): イギリス、ヨークシャー
記述と歴史
リトル・ハングル村は、急な丘に挟まれた谷間にある小さな麻瓜の村です。村には教会、墓地、そして「首つり人の酒場」という名のパブがあります。 この村は、魔法界の歴史において二つの重要な旧家の居住地でした。一つは、村で最も裕福な麻瓜の地主であったリドル家です。彼らは村を見下ろす丘の上の壮大な屋敷に住んでいました。もう一つは、サラザール・スリザリンの直系の子孫であり、純血を誇る魔法族のゴーント家です。しかし、ゴーント家は何世代にもわたる近親婚の末に貧困と狂気に陥り、村外れの森にある荒れ果てた小屋で暮らしていました。 この村の歴史における最も重大な出来事は、1943年の夏に起きたリドル家三人の殺害事件です。当時16歳だったトム・マールヴォロ・リドル(後のヴォルデモート卿)は、麻瓜の父親であるトム・リドル・シニアとその両親をアバダ・ケダブラの呪いで殺害しました。彼は叔父のモーフィン・ゴーントに偽りの記憶を植え付けて罪を着せ、モーフィンはアズカバンで命を終えました。この事件の後、リドル家の屋敷は廃墟となり、村人からは不吉な場所として恐れられるようになりました。
物語における役割
リトル・ハングル村は、ヴォルデモート卿の過去と復活に深く関わる、極めて重要な場所です。
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』: 物語の冒頭、リドル家の屋敷の老庭師であったフランク・ブライスが、隠れていたヴォルデモート卿とピーター・ペティグリューの会話を盗み聞きし、殺害される場面の舞台となります。物語のクライマックスでは、ハリー・ポッターとセドリック・ディゴリーがポートキーによって村の墓地へ飛ばされます。そこでセドリックは殺害され、ヴォルデモートはハリーの血、父の骨、僕の肉を用いて肉体を復活させました。復活したヴォルデモートは死喰い人を召喚し、ハリーと決闘を繰り広げます。
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』: アルバス・ダンブルドアが憂いの篩を使い、ボブ・オグデンと自身の記憶を通してハリーにヴォルデモートの過去を見せます。これらの記憶の舞台はリトル・ハングル村のゴーントの小屋であり、そこでメローピー・ゴーントがトム・リドル・シニアに恋焦がれていた様子や、ゴーント家の貧困と傲慢さが明らかになります。また、マールヴォロ・ゴーントの指輪が分霊箱であり、かつ死の秘宝の一つである蘇りの石であったことも、この場所の文脈で語られます。
既知の区域
- リドル家の屋敷 (Riddle House): 村を見下ろす丘の上に建つ、リドル家が住んでいた壮大な屋敷。一家の死後は廃墟となった。
- ゴーントの小屋 (Gaunt Shack): 村外れの森の中にあった、ゴーント家の住居。非常に粗末で荒れ果てていた。
- リトル・ハングル村の墓地 (Little Hangleton Graveyard): トム・リドル・シニアの墓があり、ヴォルデモート卿が復活を遂げた場所。
- 首つり人の酒場 (The Hanged Man): 村にある唯一のパブ。
舞台裏情報
- 村の名前「Hangleton」は、「hanged man(吊るされた男)」を連想させ、村のパブの名前や、ここで起きた陰惨な殺人事件といった暗い歴史を暗示しています。
- 映画版では、リトル・ハングル村の墓地のセットがゴシック様式で不気味な雰囲気を強調して作られ、物語のクライマックスシーンの劇的な効果を高めています。(映画設定)