予言の球

予言の球

予言の球は、予言がなされた際にその内容を物理的に記録する、ガラス製で埃をかぶったような小さな球体です。それぞれの球には、予言がなされた日付、予言者のイニシャル、記録した魔法省職員のイニシャル、そして予言の対象者の名前が記されたラベルが付けられています。 例えば、ハリー・ポッターヴォルデモート卿に関する予言の球には、以下のようなラベルが貼られていました。

S.P.T. to A.P.W.B.D.
Dark Lord
and (?) Harry Potter

これは、予言者であるシビル・パトリシア・トレローニー (S.P.T.) がアルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア (A.P.W.B.D.) に対して行い、対象者が闇の帝王 (Dark Lord) とハリー・ポッターであることを示しています。 予言の対象者が球に触れると、球体は温かく感じられ、内部の白い霧が渦を巻きます。

  • 予言の記録: 予言の球の最も基本的な機能は、予言者によってなされた本物の予言を一語一句違わずに記録することです。これらは神秘部予言の間に保管されています。
  • 接触制限: 予言の球は、その予言の対象者でなければ棚から持ち上げることができません。対象者以外の者が触れようとすると、精神に異常をきたすとされています。この魔法的な防御措置により、予言の内容は厳重に保護されています。
  • 再生方法: 予言の内容を聞くためには、球を破壊する必要があります。破壊されると、予言を行った予言者の幽霊のような姿が立ち上り、予言を一度だけ語り終えると霧のように消滅します。
  • 情報の永続性: 物理的な球は破壊されると失われますが、予言の内容自体は、それを直接聞いた者が記憶している限り失われるわけではありません。ヴォルデモート卿はこの点を誤解し、球そのものを手に入れることに固執しました。

予言の球は、魔法省神秘部によって長年にわたり、なされた予言を記録・保管するために使用されてきました。 物語で最も重要となる予言は、1980年初頭にシビル・トレローニーホッグズ・ヘッドでの面接中に、アルバス・ダンブルドアに対して行ったものです。この予言の一部をセブルス・スネイプが盗み聞きし、ヴォルデモート卿に報告しました。この不完全な情報が、ヴォルデモート卿によるポッター家襲撃と、結果的に彼自身の最初の失脚につながりました。 この予言が記録された球は、その後15年以上にわたり神秘部予言の間、97列目に保管されていました。

予言の球は、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』における中心的なマクガフィンとして機能します。 ヴォルデモート卿は、自身が聞き逃した予言の後半部分に、ハリー・ポッターを打ち破るための鍵があると信じ込み、その奪取を画策します。彼は自身の分霊箱の一つであるハリーとの精神的な繋がりを利用し、ハリーに神秘部へとおびき寄せるための偽のビジョンを見せました。 これにより、ダンブルドア軍団のメンバー6名と死喰い人との間で神秘部の戦いが勃発します。戦闘の混乱の中、ハリー・ポッターが持っていた予言の球は棚から滑り落ち、ネビル・ロングボトムがつまずいたことで床に落ちて粉々に砕け散りました。 結果として、ヴォルデモート卿は予言の全文を自身の耳で聞くことはありませんでした。この事件の後、ダンブルドアは校長室で、自身が記憶していた予言の完全な内容をハリーに明かしました。

  • 映画版では、予言の間は非常に広大で、天井まで届くほどの無数の棚が立ち並ぶ空間として描かれています。予言の球が破壊された際の視覚効果も、よりドラマチックに表現されています。(映画設定)