移動キー (Portkey)
基本情報
- 所有者 (Owners): 魔法省(規制および認可)、アルバス・ダンブルドア、アーサー・ウィーズリー、バーテミウス・クラウチ・ジュニア(不正使用者)など多数。移動キーは特定の個人が所有するものではなく、一時的な使用のために作成されることがほとんどである。
記述と外観
移動キーは、マグルの注意を引かないように、意図的に目立たず、ありふれた日用品やガラクタがその対象として選ばれる。これは、マグルが誤ってそれを拾い、起動させてしまう事故を防ぐための措置である。呪文がかけられると、対象物は一瞬青白い光を放ち、かすかに振動するが、その後は起動する瞬間まで、その魔法の特性を外見から判別することはできない。 作中で登場した移動キーには以下のようなものがある。
- 古びたブーツ(クィディッチ・ワールドカップへの移動に使用)
- 黒ずんだやかん(不死鳥の騎士団がハリーたちをグリモールド・プレイス十二番地へ送るために使用)
- 三大魔法学校対抗試合の優勝杯(ヴォルデモート卿の罠として使用)
- ポテトチップスの空き袋や折れたテニスラケットなど
魔法の特性と用途
移動キーの主な機能は、それに触れた一人または複数の魔法使いを、あらかじめ設定された目的地へ即座に転送することである。移動は特定の時刻に自動的に起動するように設定されるか、あるいは対象物に触れることで起動する。 移動中の感覚は、へそのあたりを鉤で引っ掛けられ、前方に猛烈な力で引きずられるような不快なものと表現される。色と音の渦に巻き込まれた後、目的地に突然放り出されるため、多くの利用者は吐き気やめまいを感じ、着地時に転倒することが多い。 移動キーを作成するための呪文は「ポータス」 (Portus) である。この呪文の使用は魔法省によって厳しく規制されており、無許可での作成は違法となる。公式な移動キーは一度使用されると、その効力を失い、ただのガラクタとしてその場に残されることが多い。
歴史
移動キーの具体的な発明時期や歴史は原作では詳しく語られていないが、魔法界では古くから確立された交通手段の一つとして利用されている。その規制の厳しさから、クィディッチ・ワールドカップのような大規模イベントでの集団輸送や、不死鳥の騎士団による緊急時の人員輸送など、特別な状況下で用いられることが多い。
物語における役割
移動キーは物語の重要な転換点で、筋書きを大きく動かす役割を果たした。 ハリー・ポッターと炎のゴブレット
- 物語のクライマックスで、三大魔法学校対抗試合の優勝杯がバーテミウス・クラウチ・ジュニアによって不正に移動キーに変えられていたことが判明する。杯に触れたハリー・ポッターとセドリック・ディゴリーは、リトル・ハングル村にあるトム・リドルの父親の墓場へ転送された。
- 吸魂鬼に襲われた後、アルバス・ダンブルドアが古い黒ずんだやかんを即席の移動キーに変え、ハリーとウィーズリー家の子供たちを不死鳥の騎士団の本部であるグリモールド・プレイス十二番地へ送った。この時、移動キー作成呪文「ポータス」が初めて作中で使用される。
- 神秘部での戦いの後、ダンブルドアは再び移動キー(ゴーストの頭像)を使い、ハリーを校長室へ安全に送り返した。
- ダーズリー家からハリーを避難させる「七人のポッター作戦」において、複数の移動キーが安全な隠れ家への交通手段として用意された。
幕後情報
- 「ポートキー (Portkey)」という名前は、ラテン語で「運ぶ」を意味する portare と、移動の「鍵 (key)」となるものを組み合わせた造語である。(Pottermore)
- J.K. ローリングによると、移動キーによる移動は意図的に不快な体験として描かれており、魔法の便利さには常に代償や不便さが伴うというテーマを反映している。(Pottermore)