移動キー (Portkey)

移動キーは、マグルの注意を引かないように、意図的に目立たず、ありふれた日用品やガラクタがその対象として選ばれる。これは、マグルが誤ってそれを拾い、起動させてしまう事故を防ぐための措置である。呪文がかけられると、対象物は一瞬青白い光を放ち、かすかに振動するが、その後は起動する瞬間まで、その魔法の特性を外見から判別することはできない。 作中で登場した移動キーには以下のようなものがある。

移動キーの主な機能は、それに触れた一人または複数の魔法使いを、あらかじめ設定された目的地へ即座に転送することである。移動は特定の時刻に自動的に起動するように設定されるか、あるいは対象物に触れることで起動する。 移動中の感覚は、へそのあたりを鉤で引っ掛けられ、前方に猛烈な力で引きずられるような不快なものと表現される。色と音の渦に巻き込まれた後、目的地に突然放り出されるため、多くの利用者は吐き気やめまいを感じ、着地時に転倒することが多い。 移動キーを作成するための呪文は「ポータス」 (Portus) である。この呪文の使用は魔法省によって厳しく規制されており、無許可での作成は違法となる。公式な移動キーは一度使用されると、その効力を失い、ただのガラクタとしてその場に残されることが多い。

移動キーの具体的な発明時期や歴史は原作では詳しく語られていないが、魔法界では古くから確立された交通手段の一つとして利用されている。その規制の厳しさから、クィディッチ・ワールドカップのような大規模イベントでの集団輸送や、不死鳥の騎士団による緊急時の人員輸送など、特別な状況下で用いられることが多い。

移動キーは物語の重要な転換点で、筋書きを大きく動かす役割を果たした。 ハリー・ポッターと炎のゴブレット

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

ハリー・ポッターと死の秘宝

  • ダーズリー家からハリーを避難させる「七人のポッター作戦」において、複数の移動キーが安全な隠れ家への交通手段として用意された。
  • 「ポートキー (Portkey)」という名前は、ラテン語で「運ぶ」を意味する portare と、移動の「鍵 (key)」となるものを組み合わせた造語である。(Pottermore)
  • J.K. ローリングによると、移動キーによる移動は意図的に不快な体験として描かれており、魔法の便利さには常に代償や不便さが伴うというテーマを反映している。(Pottermore)
  • 魔法省は、マグルが興味を示さず、決して拾い上げることのないような「ゴミ」を移動キーの対象として選ぶことに常に苦心しているとされている。(Pottermore)