チョコレート・フロッグ
基本情報
記述と外観
チョコレート・フロッグ(通称:蛙チョコ)は、生きたカエルのように見えるチョコレートでできたお菓子である。クロコス・ハードシェル・カカオを70%使用して作られている。五角形の精巧な箱に収められており、箱の中にはチョコレート本体に加えて、有名な魔女や魔法使いの肖像が描かれたカードが1枚同封されている。
魔法の特性と用途
このお菓子の最も顕著な特徴は、本物のカエルのように動き、跳ねる魔法がかけられていることである。ロン・ウィーズリーによれば、このカエルには「いいジャンプは一回きり」しかプログラムされていないため、箱を開けたら素早く捕まえる必要がある。 主な用途は食用だが、同封されている「有名魔女・魔法使いカード」の収集も、ホグワーツの生徒たちの間で人気の趣味となっている。カードの肖像は動き、裏面にはその人物の簡単な経歴が記されている。
歴史
チョコレート・フロッグ自体の製造史は不明だが、同封のカードは魔法界の重要な情報を伝える媒体として機能してきた。 特に、アルバス・ダンブルドアのカードは物語の初期において重要な役割を果たした。ハリー・ポッターが初めて手にしたこのカードには、ダンブルドアがニコラス・フラメルの共同研究者であることが記されており、これが後に賢者の石の謎を解く決定的な手がかりとなった。
物語における役割
チョコレート・フロッグは、ハリー・ポッターが魔法界に初めて触れる象徴的なアイテムの一つである。ホグワーツ特急で初めてこれを購入したハリーは、動くお菓子や収集カードといった魔法界の日常文化に驚き、読者と共にその世界観を学ぶことになる。 前述の通り、賢者の石の正体を突き止める上で、アルバス・ダンブルドアのカード裏面に記載された情報が不可欠なプロットデバイスとして機能した。 また、カード収集は登場人物の背景を描写する小道具でもある。例えば、ロン・ウィーズリーは熱心な収集家であり、ネビル・ロングボトムはアグリッパのカードを探しているなど、子供たちの日常を生き生きと描いている。 『ハリー・ポッターと死の秘宝』では、リータ・スキーターによるダンブルドアの伝記が出版された際、ハリーはかつて読んだカード裏面の英雄的な記述と、暴かれた暗い過去とのギャップに苦悩し、ダンブルドアという人物の複雑さを象徴するアイテムとして再び言及される。
舞台裏情報
- 映画やゲームでは、チョコレート・フロッグは非常に人気の高いアイテムとして登場し、特に初期のビデオゲームではカード集めが重要な収集要素となっていた。(ゲーム設定)
- 公式サイト「Pottermore」(現在の「Wizarding World」)では、原作に登場しなかった多くの魔女や魔法使いのカードが公開されており、魔法界の世界観を広げている。(Pottermore)
- ユニバーサル・スタジオの「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」では、実際に商品として販売されており、作中同様に精巧な箱とカードが付属している。