首なし狩り (The Headless Hunt)
概要
首なし狩りとは、斬首によって命を落とした幽霊たちによって構成される、非常に排他的なクラブである。彼らは幽霊馬に乗り、しばしば自分たちの頭部を使ったスポーツ(首ホッケーなど)に興じながら、狩りのように集団で駆け回ることを主な活動としている。このクラブは、ホグワーツ魔法魔術学校のグリフィンドール寮付き幽霊である首なしニックが、そのメンバーになることを熱望していたことで知られている。
参加資格と規則
首なし狩りへの参加資格はただ一つ、志願者の頭部が胴体から完全に切断されていることである。この規則は極めて厳格に適用される。 首なしニックは、生前「中途半端な」斬首刑に処されたため、彼の頭部は約半インチ(1センチ強)の皮膚と腱でかろうじて胴体と繋がっている。この理由により、彼の首なし狩りへの入会申請は500年近くにわたって繰り返し却下され続けてきた。この事実は、彼にとって大きな屈辱とコンプレックスの原因となっている。
活動内容
首なし狩りのメンバーは、以下のような活動を行っていることが確認されている。
- 狩りのシミュレーション: 幽霊馬に乗り、角笛を吹き鳴らしながら集団で荒野を疾走する。
- 首を使ったスポーツ: 自身の頭部をボール代わりにして行う様々な競技。
- 首ホッケー (Head Hockey): 自身の頭部を打ってゴールを目指す。
- 首ポロ (Head Polo): 馬上で行うポロ。
- 馬上首落とし (Head Jousting): 馬上槍試合の要領で、相手の首を落とすことを目的とする競技。
物語における役割
首なし狩りは、主に『ハリー・ポッターと秘密の部屋』において重要な役割を果たす。
- 首なしニックのキャラクター描写: このクラブの存在とニックの入会拒否は、彼の「ほとんど首無し」というあだ名の由来と、彼が抱える深い悲哀を読者に伝える上で中心的な要素となっている。
- 死者の日パーティーでの登場: 1992年10月31日、首なしニックの500回目の「死者の日パーティー」に、リーダーのサー・パトリック・デラニー=ポドモア率いる首なし狩りの一団が乱入した。彼らはパーティーの雰囲気を台無しにし、首ホッケーを始めることでニックにさらなる屈辱を与えた。
既知のメンバー
- サー・パトリック・デラニー=ポドモア (Sir Patrick Delaney-Podmore): 首なし狩りのリーダー格であり、派手な羽飾りのついた帽子を被っている。首なしニックの入会を拒否する手紙の差出人でもある。
- 氏名不詳のメンバー: 作中では十数人のメンバーがいることが示唆されているが、サー・パトリック・デラニー=ポドモア以外に名前が明かされているメンバーはいない。
幕後情報
- 首なし狩りの概念は、ヨーロッパ、特にケルト神話やゲルマン神話に伝わる「ワイルドハント(Wild Hunt)」という民間伝承から着想を得ている可能性がある。ワイルドハントは、超自然的な狩人の一団が空や大地を駆け巡るという伝説である。
- 映画『ハリー・ポッターと秘密の部屋』では、死者の日パーティーのシーンは撮影されたものの、最終的な劇場公開版からはカットされた。(映画設定)