アラゴグは、ホグワーツの禁じられた森に生息していた巨大な八眼巨蛛 (アクロマンチュラ) の一体であり、森に住む巨大蜘蛛の一族の長でした。ルビウス・ハグリッドによって卵から孵され、秘密裏に育てられた彼は、ハグリッドに対して深い忠誠心を持っていました。彼の存在は、50年前にトム・リドルによって開かれた秘密の部屋事件の真相を解明する上で、ハリー・ポッターにとって重要な手がかりとなりましたが、同時に森を訪れる人間にとっては恐ろしい脅威でもありました。
アラゴグは、ルビウス・ハグリッドが学生時代に遠方の旅人から卵を譲り受け、ホグワーツ城内の物置で孵化させました。ハグリッドは彼をペットとして可愛がり、育てていました。 しかし1943年、秘密の部屋が初めて開かれ、生徒のマートル・ワレンがバジリスクによって殺害される事件が発生します。当時、監督生であったトム・リドルは、ハグリッドが「スリザリンの怪物」を育てていると偽り、アラゴグを犯人に仕立て上げました。この告発により、ハグリッドは退学処分となり、アラゴグは禁じられた森へと逃れました。
森へ逃れた後も、ハグリッドはアラゴグを見捨てず、彼のために伴侶となるメスの八眼巨蛛モサグ (Mosag) を見つけました。アラゴグとモサグは数多くの子供をもうけ、禁じられた森の奥深くに巨大な蜘蛛のコロニーを形成しました。 アラゴグはハグリッドへの恩義から、自身の子孫たちがハグリッドを襲うことを固く禁じていました。しかし、その保護はハグリッド本人に限定されていました。1993年、ハリー・ポッターとロン・ウィーズリーが秘密の部屋の情報を求めて彼を訪ねた際、アラゴグはハグリッドの潔白を証明し、怪物が蜘蛛が最も恐れるバジリスクであることを示唆しました。しかし、情報提供後、彼は息子や娘たちにハリーとロンを餌として与えようとしました。二人はフォード・アングリアによって命からがら救出されました。
アラゴグは1997年の春、老衰により死亡しました。彼の死を深く悲しんだハグリッドは、ハリー・ポッターとホレス・スラグホーン教授を招き、ささやかな葬儀を執り行いました。この際、スラグホーンは極めて高価で希少なアラゴグの毒を収集しました。 アラゴグの死後、彼の統制を失った蜘蛛のコロニーはより凶暴化し、森に立ち入る者すべてを無差別に襲うようになりました。ホグワーツの戦いでは、彼らはヴォルデモート卿と死喰い人の側に加勢し、ホグワーツの防衛者たちに襲いかかりました。
* 外貌: アラゴグは小さな象ほどの大きさを誇る巨大な蜘蛛でした。脚を広げると最大15フィート (約4.5メートル) にも及び、体は黒く剛毛に覆われていました。加齢により、彼の八つの目は乳白色に濁り、盲目となっていました。興奮したり怒ったりすると、巨大なハサミをカチカチと鳴らす癖がありました。 * 性格: 八眼巨蛛の特性として、アラゴグは人間と同等の知性を持ち、人語を解することができました。彼は育ての親であるハグリッドに対しては絶対的な忠誠心と敬意を抱いていましたが、それ以外の人間に対しては冷酷で、捕食対象としか見ていませんでした。また、蜘蛛の天敵であるバジリスクを極度に恐れており、その名前を口にすることさえ嫌がりました。
アラゴグは魔法生物であり、魔法使いのように杖を使いませんが、八眼巨蛛として特有の能力を持っていました。
「アラゴグ (Aragog)」という名前は、クモ綱の動物を意味する「Arachnid (アラクニド)」と、聖書や伝説に登場する巨人の名前「Gog (ゴグ)」を組み合わせたものと考えられます。これは彼の「巨大な蜘蛛」という性質を的確に表しています。