マージョリー・アイリーン・ダーズリー（Marjorie Eileen Dursley）、通称マージ叔母さん (Aunt Marge) は、バーノン・ダーズリーの姉であり、ハリー・ポッターにとっては血縁関係のない伯母にあたる人物です。彼女はブルドッグのブリーダーとして生計を立てており、弟一家と同様に魔法やあらゆる「異常」なことを嫌悪する、典型的な麻瓜 (マグル) です。物語においては、プリベット通り4番地におけるハリーの過酷な幼少期を象徴する存在の一人であり、特に『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、ハリーが制御不能な魔力を暴発させる直接的な引き金となりました。
マージョリーがダーズリー家を訪れることは稀でしたが、ハリーにとっては常に苦痛を伴うものでした。 彼女が物語で最も重要な役割を果たすのは、ハリーが3年生になる前の夏休みに、プリベット通り4番地に一週間滞在したときです。彼女は溺愛するブルドッグのリッパーを連れて現れ、滞在中は終始ハリーを侮辱し続けました。彼女はハリーの容姿や素行をけなし、立派な甥であるダドリー・ダーズリーと比較しては、ハリーがろくでなしであると決めつけました。 滞在最終日の夕食の席で、マージョリーはハリーの両親であるジェームズ・ポッターとリリー・ポッターを侮辱し始めました。彼女は、二人がろくでもない失業者で、飲酒運転の末に事故死し、ハリーをまともな親戚の厄介者として残したのだと決めつけて罵りました。両親を侮辱されたことに激怒したハリーは、意図せずして強力な魔法を発動させ、マージョリーの体を風船のように膨らませてしまいます。 膨れ上がったマージョリーは天井に浮かび、開いていたドアから家の外へと漂い出ていきました。この事件は魔法省の知るところとなり、偶発的魔法事故リバーサル隊が出動しました。彼らはマージョリーを元の大きさに戻し、この出来事に関する彼女の記憶修正を行いました。 この事件後、マージョリーがダーズリー家を訪れたという記述はありませんが、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では、バーノンがハリーを家から追い出す際の脅し文句として彼女の名前を挙げています。
* 外貌: 彼女は弟のバーノン・ダーズリーに酷似しており、大柄でがっしりとした体格の女性として描かれています。原作では「小さな目に、梅干しのようにすぼめた口」を持ち、ハリーには口ひげが生えているように見えました。 * 性格: 非常に意地が悪く、高圧的で、偏見に満ちています。甥のダドリー・ダーズリーを溺愛する一方で、ハリー・ポッターを徹底的に見下し、いじめることに喜びを感じています。犬のブリーダーとしての経験から、「厳格なしつけ」と「血統」を重視する価値観を持っており、それを人間関係にも当てはめます。彼女はハリーを「血筋の悪い」厄介者とみなし、絶えず精神的な苦痛を与えました。
マージョリー・ダーズリーは麻瓜 (マグル) であり、いかなる魔法能力も持っていません。彼女自身は魔法界の存在を知りませんが、理解できないものや「普通」でないものを激しく嫌悪しています。彼女に関連する唯一の魔法は、ハリーが怒りのあまり彼女に対して無意識のうちに放った膨張術です。