マーリン勲章

* タイプ (Type): 賞、勲章 * 創設者 (Founder): マーリン * 授与機関 (Awarding Body): 魔法省 (ウィゼンガモットが管理)

マーリン勲章は、英国魔法界で最も権威ある賞の一つであり、金色の華麗なメダルに、等級を示す色のリボンが取り付けられている。等級は一級から三級まで存在し、それぞれが異なる功績を称えるために授与される。 * 一級 (First Class): 深緑色のリボン。「並外れた勇敢さや、卓越した魔法の功績」に対して授与される、最高位の勲章。このリボンの色は、創設者であるマーリンが所属していたホグワーツの寮、スリザリンに由来する。 * 二級 (Second Class): 紫色のリボン。「常識を超えた功績や努力」を成し遂げた個人に授与される。 * 三級 (Third Class): 白色のリボン。「学問やエンターテイメントの分野で貢献した者」に授与される。

マーリン勲章自体に特定の魔法の力が備わっているという記述はない。その価値は、魔法使いや魔女が成し遂げた偉大な功績を公に認め、称賛するという象徴的な意味にある。これは魔法界における最高の栄誉と見なされており、受賞者の社会的地位と名声を大きく高める役割を果たす。

この勲章は、中世の最も偉大な魔法使いの一人であるマーリンによって創設された。当初、「マーリン団」という組織は、魔法使いがマグルを保護し、彼らとの平和共存を促進するための規則を定めることを目的としていた。（Pottermore） 時を経て、この組織は魔法省の管轄下に入り、個人の功績を称えるための純粋な栄誉賞へとその性質を変えた。しかし、その歴史の中で、勲章の権威が揺らいだ時期も存在する。特にコーネリウス・ファッジが魔法大臣だった時代には、政治的な影響力や魔法省への多額の寄付と引き換えに勲章が授与されることがあり、その価値が一時的に損なわれた。 また、一級勲章のリボンがスリザリンを象徴する緑色であることについては、スリザリン寮と闇の魔法との関連性を嫌う一部の魔法使いたちから批判の声が上がることがあった。

マーリン勲章は、物語の中で登場人物のステータスや功績、そして魔法社会の道徳的な状態を反映する重要な小道具として機能する。 * 主な受賞者と意義:

1. アルバス・ダンブルドア: 一級勲章。1945年に闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドを打ち破った功績により授与された。これは彼の伝説的な力と、魔法界への計り知れない貢献を証明している。
2. コーネリウス・ファッジ: 一級勲章。彼が自分自身に授与したものであり、その虚栄心と、彼の治世下における魔法省の権威失墜を象徴している。
3. ピーター・ペティグリュー: 一級勲章（死後追贈）。親友であったジェームズ・ポッターとリリー・ポッターの死後、シリウス・ブラックに立ち向かい英雄的に死んだと信じられていたため授与された。これは魔法界全体を巻き込んだ大きな欺瞞の象徴となった。
4. ギルデロイ・ロックハート: 三級勲章。闇の力に対する防衛連盟の名誉会員として授与されたが、後に彼の功績は全て他人の手柄を横取りし、記憶呪文で忘れさせたものであることが発覚した。
5. シリウス・ブラックの祖父: シリウス・ブラックの言及によると、彼の祖父は魔法省に「大金を寄付した」ことでこの勲章を手に入れたとされており、省内の腐敗を示唆している。
6. リーマス・ルーピン: 一級勲章（死後追贈）。第二次魔法戦争における勇敢な戦いを称えられ、ホグワーツの戦いの後に授与された最初の魔法使いの一人となった。（Pottermore）
7. ニュート・スキャマンダー: 二級勲章。魔法動物学への多大な貢献により授与された。（『幻の動物とその生息地』著者紹介）

公式サイト Pottermore で明かされた情報によると、創設者であるマーリン自身は熱心なマグル擁護派であった。彼が当初目指したのは、魔法使いとマグルが平和に共存できる社会の構築であり、その理念はスリザリン寮が後に持つようになった「純血主義」とは正反対のものである。この背景は、一級勲章のリボンの色がスリザリンの緑であるという事実に対し、興味深い歴史的皮肉を与えている。